SH5433 「登記情報連携」の拡大について 法務省民事局(2025/05/02)

組織法務取引法務不動産法商業・法人登記

「登記情報連携」の拡大について

法務省民事局

 

1 はじめに

 法務省は、不動産や会社・法人の登記情報を保有しているところ、これらの登記情報について、「登記情報連携システム()」を利用することにより、国や地方の行政機関の端末で直接かつ直ちに確認することを可能とする取組(登記情報連携)を進めており、令和7年度に地方公共団体における「登記情報連携」を大幅に拡大する方針を発表した。

 「登記情報連携」の利用に関心がある地方公共団体は、本稿及び末尾の法務省ホームページを参照いただき、利用登録について積極的に検討いただきたい(令和7年度の第一次募集は、6月30日(月)期限となっている。)。

     国の機関や地方公共団体の職員が端末上で登記情報を登記事項証明書の形式で確認・印刷できるシステム(利用は、職務上必要な場合に限られる。地図(公図を含む。)、図面及び共同担保目録等の情報は除く。)。全国の土地、建物、会社・法人等の情報検索が可能。
利用時間は、平日8時から20時まで。利用料及び手数料は無料。

 

2 「登記情報連携」について

 「登記情報連携」は、「登記事項証明書の添付省略」及び「公用請求代替」の2つの施策で構成される。いずれの施策も法務省の「登記情報連携システム」にアクセスし、登記情報を職員の端末からオンライン上で確認することを可能にすることによって、国民の負担軽減及び国や地方の行政機関の業務効率化を目的とする施策である。

 

① 「登記事項証明書の添付省略」

 法令に基づき、登記事項証明書の添付を求めている手続(例:土壌汚染対策法に基づく汚染土壌処理業の許可の手続、宗教法人法に基づく登記に関する届出の手続等)について、行政機関等が登記情報連携を活用することで、(各種行政手続の)申請人は申請等に際して登記事項証明書を添付する必要がなくなる(事前に法務局で登記事項証明書を取得する必要がなくなる。)。

 これにより、申請人の登記事項証明書の入手に要する費用・時間等の負担軽減につながるものであり、国民の負担軽減を図る施策である。

 

② 「公用請求代替」

 行政機関等が登記事項証明書を職務上請求する必要がある事務(いわゆる公用請求。例:道路整備の実施に向けた境界確認、農地台帳の情報更新、固定資産課税台帳の登録、空き家等の所有者等の特定、地籍調査事業等)について、登記情報連携を活用することで、行政機関等の職員は法務局へ請求することなく、すぐに登記情報を確認できる。

 これにより、これまで、登記事項証明書を法務局に請求する場合は、法務局への移動経費や証明書の取得に要する待ち時間が発生していたが、法務局へ移動することなく速やかに登記情報を取得することにより費用・時間等の負担軽減につながるものであり、行政機関等の業務効率化を図る施策である。

 

3 地方公共団体の負担軽減

 上記の施策のうち、地方公共団体の業務効率化・負担軽減に直結する施策は、「公用請求代替」となる。

 令和5年に法務局が発行した登記事項証明書等の件数は約8,700万件であるところ、全国の行政機関等に対して発行した登記事項証明書等の総数(公用請求の総数)は約3,300万件(約4割)を占めている。

 令和6年10月から茨城県ひたちなか市で実施した公用請求代替の試行では、2週間の抽出調査において約44時間の削減効果があり、年間に換算すると1,000時間以上の削減効果が見込まれる結果となることから、今後、全国の地方公共団体での登記情報連携の利用が進めば、全国で数百万時間以上の削減効果が見込まれ、数十億円規模での削減効果が見込まれる。

 ひたちなか市役所職員へのヒアリングにおいては、「法務局への往復に要する時間と窓口での待ち時間がないことは、事務の効率化の点で効果があった。」、「確認したい登記情報が短時間で入手できることは、事務処理に要する時間の短縮につながった。」、「急ぎの案件等の際、法務局に行かなくても職場ですぐに取得し、確認ができるので、相手方へも回答しやすくなり業務の効率化につながっている。」、「空き家所有者等に対する助言・指導をする際、スピーディーな助言・指導をすることが可能になった。」といった業務効率化に資する施策として高く評価される結果となった。

 

4 令和7年度の方針

 法務省は、の試行結果も踏まえ、「登記情報連携」の利用拡大は、「公用請求代替」により地方公共団体を含む行政機関等の職員の負担を軽減しつつ、軽減した時間を活用し、「登記事項証明書の添付省略」により利用者負担を軽減することが可能であるとともに、法務局職員にとっても窓口での登記事項証明書の発行業務の負担が減少することから、国民・行政機関等・法務局の三者の負担を軽減できる「三方よし」の施策と考えており、令和7年3月4日の法務大臣閣議後記者会見において、鈴木法務大臣から「令和7年度から地方公共団体の利用を大幅に拡大することとする」旨の方向性を打ち出し、デジタル化の推進及び利便性の向上に一層努めることとしている。

 令和7年3月に全国8都市で実施した地方公共団体向けの説明会には、合計246の地方公共団体が出席(対面及びオンラインの担当者出席数は1,600人以上)し、地方公共団体から本施策に対する高い期待が明確になったものと考えている。

 令和7年4月には、最新の申請様式を地方公共団体向けに公開し、「登記情報連携」の活用を希望する全ての地方公共団体からの登録依頼を受け付けている。「登記情報連携」の活用を希望される地方公共団体は、以下のリンク先の法務省ホームページをご覧いただき、「登記情報連携」の利用についてご検討いただきたい。

 


<法務省ホームページのURL>
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00367.html

タイトルとURLをコピーしました