SH5436 インド:不動産法制の基礎(下)――不動産登録制度について 洞口信一郎(2025/05/08)

取引法務不動産法

インド:不動産法制の基礎(下)
――不動産登録制度について――

長島・大野・常松法律事務所

弁護士   洞 口 信一郎

 

(承前)

3 デュー・ディリジェンス

⑴ 取引文書の確認

 不動産の権原についてデュー・ディリジェンスを行う場合、日本では、対象土地の不動産登記事項証明書の権利の一部である甲区欄を確認することによって、当該対象土地の所有権がどのように移転してきたか、現在の所有名義人が誰かが分かる。もちろん、理論的にいえば、当該登記事項証明書の記載が対象土地の所有権の帰属について公信力を与えるものではないため、当該登記事項証明書から確認できる所有名義人の記載をもって対象土地の所有権が所有名義人に帰属していることを断言できるものではない。しかし、対象土地が当該所有名義人に帰属していることにつき疑いを惹起する特段の事情がない限り、実務上、当該所有名義人が対象土地の所有権を有していると推認しうると考えるのが通例である。

この記事はプレミアム向け有料記事です
続きはログインしてご覧ください

 

(ほらぐち・しんいちろう)

2003年京都大学法学部卒業。2005年京都大学大学院法学研究科修了(法学修士)。2006年第一東京弁護士会登録(59期)、長島・大野・常松法律事務所入所。2012年Duke University School of Law卒業(LL.M.)。2012年~2013年Haynes and Boone, LLP(ダラス)勤務。

不動産関連取引(J-REIT及び私募ファンドの組成・運営、不動産ファイナンス、不動産証券化、不動産関連企業のM&A等)、日系不動産関連企業の海外不動産開発案件、プロジェクトファイナンス、エネルギーその他のインフラ関連プロジェクト等に伴う法務アドバイスを行っている。

 

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

長島・大野・常松法律事務所は、約500名の弁護士が所属する日本有数の総合法律事務所です。企業法務におけるあらゆる分野のリーガルサービスをワンストップで提供し、国内案件及び国際案件の双方に豊富な経験と実績を有しています。

当事務所は、東京、ニューヨーク、シンガポール、バンコク、ホーチミン、ハノイ、ジャカルタ及び上海に拠点を構えています。また、東京オフィス内には、日本企業によるアジア地域への進出や業務展開を支援する「アジアプラクティスグループ(APG)」及び「中国プラクティスグループ(CPG)」が組織されています。当事務所は、国内外の拠点で執務する弁護士が緊密な連携を図り、更に現地の有力な法律事務所との提携及び協力関係も活かして、特定の国・地域に限定されない総合的なリーガルサービスを提供しています。

詳しくは、こちらをご覧ください。

 

タイトルとURLをコピーしました