インド:不動産法制の基礎(下)
――不動産登録制度について――
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 洞 口 信一郎
3 デュー・ディリジェンス
⑴ 取引文書の確認
不動産の権原についてデュー・ディリジェンスを行う場合、日本では、対象土地の不動産登記事項証明書の権利の一部である甲区欄を確認することによって、当該対象土地の所有権がどのように移転してきたか、現在の所有名義人が誰かが分かる。もちろん、理論的にいえば、当該登記事項証明書の記載が対象土地の所有権の帰属について公信力を与えるものではないため、当該登記事項証明書から確認できる所有名義人の記載をもって対象土地の所有権が所有名義人に帰属していることを断言できるものではない。しかし、対象土地が当該所有名義人に帰属していることにつき疑いを惹起する特段の事情がない限り、実務上、当該所有名義人が対象土地の所有権を有していると推認しうると考えるのが通例である。
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(ほらぐち・しんいちろう)
2003年京都大学法学部卒業。2005年京都大学大学院法学研究科修了(法学修士)。2006年第一東京弁護士会登録(59期)、長島・大野・常松法律事務所入所。2012年Duke University School of Law卒業(LL.M.)。2012年~2013年Haynes and Boone, LLP(ダラス)勤務。
不動産関連取引(J-REIT及び私募ファンドの組成・運営、不動産ファイナンス、不動産証券化、不動産関連企業のM&A等)、日系不動産関連企業の海外不動産開発案件、プロジェクトファイナンス、エネルギーその他のインフラ関連プロジェクト等に伴う法務アドバイスを行っている。
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