金融庁「立替サービスの貸金業該当性に関するQ&A」について
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 波多野 恵 亮
弁護士 林 敬 祐
1 はじめに
2025年4月2日、金融庁は「立替サービスの貸金業該当性に関するQ&A」(以下「本Q&A」という。)を公表した[1]。本Q&Aは、金融審議会「資金決済制度等ワーキング・グループ」(以下「資金決済等WG」という。)における議論や資金決済等WGの報告書の内容を踏まえ、立替サービスの「貸付け」該当性に関して、基本的な考え方や解釈を記載したものである。
資金決済等WGは2025年1月22日に報告(以下「資金決済等WG報告」という。)を公表したが、同報告は、立替サービスの貸金業該当性について、法改正等による新たな規制枠組みの導入の提案や、個別具体的な立替サービスの類型についての貸金業該当性の判断を行うことはなかった。他方、これまでに金融庁が公表してきたいくつかの具体的事例における判断から共通して導かれる規範を抽出の上、提示していた。具体的には、「各サービスの実態に照らし、①どの程度資金需要者の支払能力を補完しているか、②どの程度資金需要者の信用力を考慮しているかなどに着目して、貸付けと同等の経済的効果を有するかを個別に判断する」とし、その判断に当たっては、たとえば、「手数料の設定方法、立替期間および資金需要者の属性・利用態様等を総合的に勘案することが考えられる」という一定の基準を示していた。本Q&Aは、同報告を受けて、当該基準をより詳細に解説したものといえる。
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(はたの・けいすけ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2008年慶應義塾大学法学部卒業。2010年慶應義塾大学法科大学院卒業。2011年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2015年7月から2017年6月まで金融庁総務企画局企画課信用制度参事官室に出向し、2016年及び2017年の2度にわたる銀行法改正(銀行業高度化等会社に関する制度、電子決済等代行業に関する制度等)及び下位法令の策定等を担当。当該経験を活かし、決済関連及び銀行グループの業務範囲関連の規制対応を特に専門分野とするほか、その他の金融規制対応やFinTech関連の幅広いリーガルアドバイスを行っている。
(はやし・けいすけ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2011年東京大学法学部卒業。2013年東京大学法科大学院卒業。2014年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年4月から2018年3月まで国内大手証券会社コンプライアンス部に出向。2021年コロンビア大学・ロースクール(LL.M.)修了。2022年ニューヨーク州弁護士登録。2022年8月から2024年10月まで金融庁総合政策局フィンテック参事官室に出向。資金決済法、貸金業法等のフィンテック分野において、決済・送金、ステーブルコイン、暗号資産、ファクタリングなどフィンテック分野に関するスキーム構築、当局対応、登録申請業務等に従事するほか、証券会社など伝統的金融機関の金融規制業務に従事。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
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