「金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令」等の改正(案)の公表
――役員・従業員持株会および委任状勧誘に関するルールの改定――
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 塚 本 英 巨
弁護士 山 田 智 希
1 はじめに
役員持株会や従業員持株会(以下、単に「持株会」という。)は、役職員のインセンティブ向上や資産形成に資する有用な手段として、上場会社か非上場会社かを問わず広く利用されている仕組みである。そして、後述するとおり、その運営過程において生じる株式の取得や売却等については、一定の要件を充足する場合に、金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(以下「金商法」という。)等に基づく規制の適用が例外的に除外されている(以下、本稿において、それらの例外的取扱いを「本例外」という。)。
従前から、経済界を中心に、そうした本例外の適用を受けるための要件を緩和することが要望されてきた。そうした中、2025年1月には、金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令(平成5年大蔵省令第14号)(以下「定義府令」という。)や有価証券の取引等の規制に関する内閣府令(平成19年内閣府令第59号)(以下「取引規制府令」という。)の改正が施行され、本例外の適用を受けるための要件が一定程度緩和された(以下「2025年1月改正」という。)。そして、今般、金融庁は、本例外の適用に関する更なる要件の緩和や明確化を図るため、定義府令の改正案[1](以下「本改正案(定義府令)」という。)および取引規制府令の改正案[2](以下「本改正案(取引規制府令)」という。)を新たに公表し、これらをパブリックコメントの手続に付した[3]。
また、金融庁は、これと同時に、上場株式の議決権の代理行使の勧誘に関する内閣府令(平成15年内閣府令第21号)(以下「委任状勧誘府令」という。)の改正案[4](以下「本改正案(委任状勧誘府令)」という。)もあわせて公表し、上場会社の株主総会における議決権の代理行使の勧誘(いわゆる委任状勧誘)について、株主総会参考書類等に係る電子提供措置が実施されている場合における委任状参考書類に関するルールの明確化を図ることを明らかにしている。
そこで、本稿では、以上の各改正案(以下、あわせて「本改正案」という。)の概要について、簡単に整理することとする。
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(つかもと ひでお)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー弁護士
2003年東京大学法学部卒業、2004年弁護士登録。2010年~2013年に法務省民事局へ出向し、平成26年会社法改正の企画・立案を担当。また、2016年~公益社団法人日本監査役協会「ケース・スタディ委員会」専門委員、2017年~2022年経済産業省「コーポレート・ガバナンス・システム(CGS)研究会(第2期・第3期)」委員、2019年~2021年経済産業省「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」委員、2024年経済産業省「『稼ぐ力』の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会」委員。主に、M&A、取締役会改革・株主総会対策をはじめとする会社法およびコーポレート・ガバナンス、紛争対応を扱う。
(やまだ・ともき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所シニア・アソシエイト。2017年東京大学法学部卒業。文部科学省勤務を経て、2018年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2024年英国King’s College London, University of London (LL.M.)。コーポレートガバナンス・グローバルコンプライアンス、国内外のM&A・組織再編のほか、宇宙・航空・海洋分野を中心とする国際法・国際取引法関連や地方自治体関連案件に積極的に取り組んでいる。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
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