金融庁、カーボン・クレジット取引に関する金融インフラのあり方等に係る検討会(第6回)を実施
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 宮 川 賢 司
弁護士 香 川 遼太郎
弁護士 完 山 聖 奈
弁護士 新 庄 絢
1 はじめに
政府は、2025年2月25日、2026年からの義務的な排出量取引制度導入を含む「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」(以下「2025年GX推進法改正案」という。)[1]を閣議決定しており、特に、二酸化炭素の直接排出量が年間10万トン以上の事業者においては義務的な排出量取引制度への対策が急務となっている。
そのような中、金融庁は、2025年4月11日、カーボン・クレジット取引に関する金融インフラのあり方等に係る検討会(以下「本検討会」という。)(第6回)を開催した[2]。
2015年のパリ協定採択以降、気候変動対策が世界的な規模で推進され、それに伴いカーボン・クレジットの取引も拡大・多様化している。いわゆるコンプライアンス市場としてのEU排出量取引制度(EU-ETS)等における取引が活性化されている一方で、制定法に基づく制度ではないボランタリー・カーボン・クレジット(以下「VCC」という。)の取引も増加している。もっとも、VCCについては、取引慣行が確立していないことを理由に、証券監督者国際機構(IOSCO)から種々のリスクの存在を指摘されており、取引の透明性・健全性(Financial Integrity)を高め、投資家保護を促進することが急務となっている。そのような中で、VCCを含むカーボン・クレジット[3]に関する取引インフラと市場慣行のあり方について初期的な論点を議論していくことを目的として本検討会が設置され、すでに5回にわたって開催されてきた[4][5][6][7][8]。
本稿では、本検討会(第6回)での議論[9]について紹介しながら、本検討会(第5回)までの検討状況を概観する。
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(みやがわ けんじ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャル・カウンセル弁護士。1997年慶應義塾大学法学部卒業。2000年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2004年ロンドン大学(University College London)ロースクール(LL.M.)修了。2019年から慶應義塾大学非常勤講師(Legal Presentation and Negotiation)。国内外の金融取引、不動産取引、気候変動関連法務および電子署名等のデジタルトランスフォーメーション関連法務を専門とする。
(かがわ・りょうたろう)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。早稲田大学法学部卒業。2022年弁護士登録(東京弁護士会)。執筆として「非化石証書の制度と実務」(NBL2023年11月1日号)等。
(かんやま・せいな)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2019年京都大学法学部卒業。2022年東京大学法科大学院卒業。2023年弁護士登録(第二東京弁護士会)。
(しんじょう・あや)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2020年慶應義塾大学法学部卒業。2022年東京大学法科大学院修了。2023年弁護士登録(第二東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
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