ベトナム:裁判例紹介 管理職からの辞任届をもって労働契約を終了したことが違法とされた事例
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 澤 山 啓 伍
ベトナム弁護士 Truong Thi Thu Hoai
1 はじめに
ベトナム労働法では、使用者から労働契約を解除できる場合が限定的であることは、これまでも何度か紹介してきた。他方で、労働者との合意があれば契約終了は可能とされており、実務的には労働者からいかに退職の同意を取り付けるかが重要になっている。労働者から退職の同意を得られたと思っても、後になってその同意が有効でないとされてしまうと、使用者は労働契約を違法に解除したものとして、労働法に基づく責任を負うことになってしまう。
今般、この点に関して、参考になる裁判例があったので本稿でご紹介する。この裁判例では、管理職である労働者から辞任届を受け取った使用者が、それを労働契約終了への意思表示とみなして労働契約を終了したところ、後になって労働者から労働契約の違法解除であるとして訴訟提起されてしまった。本稿では、簡単に事案及び二審判決の判断を紹介し、使用者として留意すべき点を分析する。
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(さわやま・けいご)
2004年 東京大学法学部卒業。 2005年 弁護士登録(第一東京弁護士会)。 2011年 Harvard Law School卒業(LL.M.)。 2011年~2014年3月 アレンズ法律事務所ハノイオフィスに出向。 2014年5月~2015年3月 長島・大野・常松法律事務所 シンガポール・オフィス勤務 2015年4月~ 長島・大野・常松法律事務所ハノイ・オフィス代表。
現在はベトナム・ハノイを拠点とし、ベトナム・フィリピンを中心とする東南アジア各国への日系企業の事業進出や現地企業の買収、既進出企業の現地でのオペレーションに伴う法務アドバイスを行っている。
(Truong Thi Thu Hoai)
2013年Hanoi Law University及び名古屋大学日本法教育研究センター(ハノイ)卒業後、2019年に名古屋大学大学院法学研究科にて法学博士号を取得。翌年ベトナム弁護士資格を取得し、長島・大野・常松法律事務所ハノイオフィスに入所。日越双方の法律に関する知識を活かして、ベトナムで事業活動を行う日本企業へのベトナム法のアドバイスを行っている。
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