SH5455 中国:データプロテクション法規制の強化――ネットワーク安全法の改正案公表 川合正倫/艾蘇(2025/05/20)

取引法務個人情報保護法

中国:データプロテクション法規制の強化
――ネットワーク安全法の改正案公表――

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 川 合 正 倫

外国法弁護士 艾     蘇

 

1 はじめに

 2025年3月8日、いわゆる中国データ三法[1]の一つであるネットワーク安全法(2017年6月1日施行)の改正案(以下、「本改正案」という。)が公表された。これは2022年9月に公表された初回の改正案(以下、「初回改正案」という。)からさらに修正を加えたものであり、パブリックコメントが募集されている。

 ネットワーク安全法は、中国におけるネットワークの構築、運営、維持及び使用、並びにネットワーク安全の管理監督を規制対象とする基本的な法令であり、ネットワークの所有者、管理者及びネットワークサービスの提供者(以下、「ネットワーク運営者」という。)に対して安全保護義務を要請している。同法は「ネットワーク」について、「コンピュータその他の情報端末及び関連設備により構成され、一定の規則及びプログラムに基づき、情報の収集、伝送、交換、処理を行うシステム」と定義しており、インターネットサービス事業者に限らず、企業内のネットワークも規制対象に含まれると考えられている。中国で事業活動を行う企業は、通常自社で何らかのネットワークを管理していることから、同法の適用を受ける。

 本改正案では、ネットワーク運営者による安全保護義務の履行に対する規制の強化、ネットワーク安全保護義務に関する罰則基準の他の法規制との整合性の確保、デジタルプラットフォームを運営するネットワーク運営者(以下、「デジタルプラットフォーマー」という。)の責任の明確化等が図られており、サイバーセキュリティに対する法執行が強化される等、実務において重要な影響を及ぼすものと見込まれている。

 本稿では、現行法及び初回改正案からの重要な変更点を紹介し、企業が留意すべき点について概説する。

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(かわい・まさのり)

長島・大野・常松法律事務所上海オフィス一般代表。2011年中国上海に赴任し、2012年から2014年9月まで中倫律師事務所上海オフィスに勤務。上海赴任前は、主にM&A、株主総会等のコーポレート業務に従事。上海においては、分野を問わず日系企業に関連する法律業務を広く取り扱っている。クライアントが真に求めているアドバイスを提供することが信条。

 

(Su・Ai)

2017年九州大学法学部交換留学。2018年華東政法大学法学部及び日本語学部卒業。2022年東京大学大学院法学政治学研究科卒業、長島・大野・常松法律事務所入所。日中間の法律業務を中心に、クロースボーダー取引、企業再編、紛争解決等、幅広い分野で法務サポートを行っている。

(※中国での律師登録は行っていません。)

 

 

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