米トランプ2.0関税の全体像と企業の対応
~2025年5月上旬までの動きを整理~(2)
森・濱田松本法律事務所外国法共同事業
弁護士・NY州弁護士 宮 岡 邦 生
NY州弁護士 児 玉 みさき
※ 本稿における説明は2025年5月16日(日本時間)時点の情報に基づいている。トランプ政権の政策はめまぐるしく変化するところ、最新の情報については米国政府の発表やニュース等を併せて参照されたい。 ※ 本稿に記載された日付は特に断りのない限り2025年である。 ※ 本稿で扱う内容は米国法の問題であるところ、当職らは本稿において法的アドバイスを提供するものではなく、具体的案件については個別の状況に応じて専門家に相談されたい。なお、本稿のうち意見にわたる部分は筆者らの個人的見解であり、その所属する組織の見解ではない。不正確な点や誤りがあれば責めはすべて筆者らに帰する。 |
2 トランプ2.0関税の概要
⑶ 個別の関税措置の内容
以下では、図表1に示した各種の追加関税の中でも特に実務的影響の大きいものとして、①中国・カナダ・メキシコ向けフェンタニル関税、②相互関税、③鉄鋼・アルミ関税、④自動車・自動車部品関税、⑤通商法301条に基づく対中追加関税を中心に、措置の概要(時系列、措置の内容、除外・軽減措置)を順に解説する。
① 中国・カナダ・メキシコ向けフェンタニル関税
時系列
フェンタニル関税について、これまでに発出された大統領令等を時系列的に整理すると図表2のとおりである。
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(みやおか・くにお)
弁護士・ニューヨーク州弁護士、森・濱田松本法律事務所外国法共同事業パートナー
2004年東京大学工学部卒業、2007年東京大学法科大学院終了、2013年米国コロンビア大学(LL.M.)修了。2009年森・濱田松本法律事務所入所。2014~2016年経済産業省通商機構部国際経済紛争対策室(参事官補佐)、2017~2020年世界貿易機関(WTO)上級委員会事務局法務官を経て現職。WTO/FTA、関税、貿易救済、輸出管理、経済制裁、ビジネスと人権、環境・気候変動など、国際通商法を広く扱う。近著として『国際通商法実務の教科書』(日本加除出版、2024年)。
(こだま・みさき)
ニューヨーク州弁護士。2005年名古屋大学法学部卒業、2007年名古屋大学大学院国際開発研究科博士前期課程修了、2009年ベルン大学 World Trade Institute(Master of International Law and Economics)修了、2014年Fordham School of Law(LL.M.)修了、2014年名古屋大学大学院国際開発研究科博士後期課程(Ph.D.)修了。2015年ニューヨーク州弁護士登録(外国法事務弁護士未登録)。2010~2011年在ジュネーブ国際機関日本政府代表部、2014~2018年米国大手法律事務所、2018~2023年経済産業省通商政策局国際経済紛争対策室にて執務。2023年森・濱田松本法律事務所入所。主な業務取扱分野はWTO/国際通商法務、アンチダンピング。