中小受託取引適正化法成立(第1回)
――下請法改正の全体像と実務に直結する改正の要点――
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 原 悦 子
弁護士 西 向 美 由
1 はじめに
2025年5月16日、国会において「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」が成立し、2026年1月1日から施行[1]される。これにより、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)は、製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(以下「中小受託取引適正化法」という。)に名称が改められる。また、下請中小企業振興法(以下「下請振興法」という。)も受託中小企業振興法(以下「新振興法」という。)へと改称される。新法による主な用語の変更をまとめると、以下のとおりである。
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現行法 |
改正後 |
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下請代金支払遅延等防止法(下請法) |
製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(中小受託取引適正化法) |
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下請中小企業振興法(下請振興法) |
受託中小企業振興法(新振興法) |
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親事業者 |
委託事業者 |
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下請事業者 |
中小受託事業者 |
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下請中小企業 |
受託中小企業 |
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下請代金 |
製造委託等代金 |
下請法については、これまでも改正による細かな調整が重ねられてきたが、今回はそれらとは一線を画す包括的な改正であり、法律の名称等の変更にとどまらず、親事業者に実務の見直しや運用の転換を迫る大幅な変更が加えられている。また、法律の改正に加えて、運用基準の変更やガイドラインの改定なども見込まれており、実務に与える影響は小さくないと思われる。
そこで、本稿を含む全3回の連載により、下請法および下請振興法の改正点を中心に実務上重要な変更点について解説することとし、初回となる本稿では、改正の背景および経緯を踏まえつつ、改正の全体像と実務に直結する改正の要点を紹介する。
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(はら・えつこ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。1998年東京大学法学部卒業。2001年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2006年コロンビア大学ロースクール(LL.M.)修了。2007年ニューヨーク州弁護士登録。2019年~2022年東京大学大学院法学政治学研究科准教授。独禁法の分野において、独禁調査案件、企業結合届出の対応に幅広い経験を有するほか、クロスボーダーでの事業展開、フランチャイズ、戦略的提携に関する案件、通商業務も多く取り扱う。
(にしむかい・みゆ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所シニア・アソシエイト。2008年京都大学法学部卒業。2010年東京大学法科大学院卒業。2011年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2018年3月-8月・ベルギー ブリュッセルのMcDermott Will & Emery法律事務所勤務。事業会社への出向経験を有し、主に独禁法及び下請法の分野において、企業結合届出、調査対応のほか、コンプライアンス体制に関するアドバイスを数多く取り扱っている。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
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