SH5486 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案、参議院本会議で可決・成立 宮川賢司/香川遼太郎(2025/06/17)

組織法務サステナビリティ

脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案、参議院本会議で可決・成立

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 宮 川 賢 司

弁護士 香 川 遼太郎

 

1 はじめに

 2023年に成立した「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」(以下「GX推進法」という。)は、2023年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」[1]に基づいて必要な法制度上の措置を講じる法律であり、脱炭素を単なる規制による対応とせずに、脱炭素技術やサービスへの投資を促進することにより日本経済を発展させるグリーントランスフォーメーション(GX)を実現することを目的としている。

 国際的には、2025年1月の米国トランプ政権の誕生により、脱炭素重視の考え方と化石燃料重視の考え方が拮抗しつつあるようにも見受けられる。しかし、EUにおいては多少の気候変動規制緩和の動きがあるものの引き続き脱炭素が重視されている。発展途上国等においても、たとえば化石燃料偏重による大気汚染等の問題の存在も考えると、中長期的には化石燃料への依存を減少させていく必要性がある。

 そのような中、政府は、2025年2月25日、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定し[2][3]、同年5月28日、同法律案は参議院本会議で可決され成立した(以下「本改正法」といい、本改正法により改正されたGX推進法を「2025年改正GX推進法」、本改正法により改正された資源有効利用促進法を「2025年改正資源有効利用促進法」という。)。

 本改正法の最大の注目点は、EUにおける排出量取引(EU-ETS)と類似の義務的な排出量取引制度を導入する点にある。これにより、温室効果ガス(以下「GHG」という。)の排出に経済的負担を課し、GHG排出削減にインセンティブを与える「カーボンプライシング」の考え方が義務的な形で導入される。したがって、GHG多排出企業(2025年改正GX推進法では「脱炭素成長型投資事業者」と定義される。)は、2025年改正GX推進法によりGHG排出削減を進めなかった場合に経済的負担が発生することが明確化するので、その経済的負担を根拠に脱炭素投資を進めやすくなる。

 わが国の企業としては、2025年改正GX推進法を契機として、たとえばペロブスカイト太陽電池・浮体式洋上風力設備・大規模蓄電池設備・高効率な送電網等の脱炭素技術への投資を加速し、今後の脱炭素市場におけるグローバルなマーケットシェアを拡大することが期待される。

 以上の理解を前提に、本改正法の概要を紹介する。

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(みやがわ けんじ)


アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャル・カウンセル弁護士。1997年慶應義塾大学法学部卒業。2000年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2004年ロンドン大学(University College London)ロースクール(LL.M.)修了。2019年から慶應義塾大学非常勤講師(Legal Presentation and Negotiation)。国内外の金融取引、不動産取引、気候変動関連法務および電子署名等のデジタルトランスフォーメーション関連法務を専門とする。

 

(かがわ・りょうたろう)


アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。早稲田大学法学部卒業。2022年弁護士登録(東京弁護士会)。執筆として「非化石証書の制度と実務」(NBL2023年11月1日号)等。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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