SH5497 欧州委員会が労働市場にカルテル規制を適用した初めての事例 ムシス バシリ/臼杵善治/浅沼泰成(2025/06/26)

取引法務競争法(独禁法)・下請法

欧州委員会が労働市場にカルテル規制を適用した初めての事例

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

外国法事務弁護士-英国弁護士 ムシス バシリ

弁護士 臼 杵 善 治

弁護士 浅 沼 泰 成

 

1 はじめに

 2025年6月2日、欧州委員会は、オンラインフードデリバリー事業を営む、Delivery Hero社とGlovo社に対し、労働市場に関する違反行為を含む一連の行為について競争法違反行為があったと認定し、3億2,900万ユーロの制裁金を課した(以下「本件」という。)。本件は、欧州委員会が初めて労働市場において競争法上のカルテル規制を適用した点で重要な事案であると考えられる。また、企業が競合他社の少数株主としての地位を反競争的に用いることについて、競争法違反を認定した初めての決定という意味でも興味深い事案である[1]。以下、事案の概要および注目点についてコメントすることとしたい。

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(Vassili Moussis)


アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。外国法事務弁護士。英国弁護士。1995年英国 University College London 卒業 (LL.M.)。2000年Solicitor of the Senior Courts of England and Wales登録。2010年外国法事務弁護士登録。欧州委員会での研修を経て、20年以上欧州競争法に従事、英国と米国を代表する法律事務所のブリュッセルおよびロンドンオフィスに勤務。2009年から東京にて勤務。国際的要素が含まれる案件に携わり、EU法およびEU競争法、特に合併規制およびカルテル案件を取り扱う。

 

(うすき・よしはる)


アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。
2003年慶應義塾大学法学部卒業。2006年慶應義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(第一東京)。2015年University of London, LL.M. in Competition Law修了。
公正取引委員会による審査手続対応、海外当局による調査手続対応、国内外の競争法当局に対する企業結合届出のサポート、競争法コンプライアンスマニュアル作成・競争法コンプライアンストレーニング、流通取引規制に関するアドバイス、景品表示法対応等の多数の案件を取り扱っている。

 

(あさぬま・たいせい)


アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2022年東京大学法学部卒業。2024年東京大学法科大学院卒業。2025年弁護士登録(第一東京弁護士会)。

 

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。

<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング

 


* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用

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