SH5500 公取委、令和6年度における企業結合関係届出の状況及び主要な企業結合事例について 松田大樹(2025/07/01)

競争法(独禁法)・下請法M&A・組織再編(買収防衛含む)

公取委、令和6年度における企業結合関係届出の状況及び
主要な企業結合事例について

岩田合同法律事務所

弁護士 松 田 大 樹

 

1 はじめに

 公正取引委員会(以下「公取委」という。)は、株式取得や合併等の企業結合について、独占禁止法により禁止される「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる」企業結合でないか否かの審査(企業結合審査)を実施している。国内売上高等の一定の要件を満たす企業結合については、その企業結合を実行する前に、公取委に対して届出を行うことが義務付けられているところ、公取委は、当該届出を受けて審査を実施するほか、届出対象外の企業結合についても、必要に応じて審査を実施する。届出手続は、大要、第1次審査(30日以内)及び第2次審査(90日以内)からなり、ほとんどの案件は第1次審査で終了する。なお、当事会社は第1次審査の前に届出前相談を行うことができ、届出書の記載方法等に関して公取委の担当官と事前に相談することができる。企業結合審査により「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる」と判断された企業結合は、排除措置命令により禁止されることとなるが、当事会社が競争上の問題を解消する一定の適切な措置(問題解消措置)を申し出た場合には、当該措置を講ずることを前提として、競争を実質的に制限することとはならないと判断される場合もある。

 このような届出手続並びに企業結合審査の内容及び結果に関して、公取委は、平成5年度以降、年度ごとの企業結合関係届出の状況や主要な企業結合事例を取りまとめて公表しているところ、令和7年6月18日、「令和6年度における企業結合関係届出の状況」及び「令和6年度における主要な企業結合事例について」がそれぞれ公表された。本稿では、これら公表資料の内容について概観する。

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(まつだ・たいき)

岩田合同法律事務所弁護士。2017年一橋大学法学部卒業、2019年一橋大学法科大学院修了。2020年弁護士登録。会社法、金融商品取引法、独占禁止法・下請法、M&A案件等を中心に、企業法務全般に関する法的助言を幅広く取り扱う。

 

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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公取委、令和6年度における企業結合関係届出の状況及び主要な企業結合事例について

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/jun/250618_case.html

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