SH5501 食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律の成立(農林水産省) 小島諒万/新藤友理(2025/07/01)

取引法務業法・規制法対応

食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び
卸売市場法の一部を改正する法律の成立 (農林水産省)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 小 島 諒 万

弁護士 新 藤 友 理

 

1 はじめに

 2025年6月11日、合理的な費用を考慮した価格形成と食品産業の持続的な発展に向けた施策を一体的に推進し、食料の持続的な供給ができる食料システムを確立することを目的に、食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律が成立した(以下「本改正」という。)[1]

 2024年6月、食料安全保障の確保、環境と調和のとれた食料システムの確立、農業の持続的な発展および農村の振興を基本理念として、国民生活の安定向上および国民経済の健全な発展を図ることを目的に、改正食料・農業・農村基本法が施行された[2]ところ、食料安全保障とは、「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態をいう。」(2条1項)と定義されている。そして、同法において、食料の価格形成に当たっては、農業者、食品産業の事業者、消費者その他の食料システム[3]の関係者により、食料の持続的な供給に要する合理的な費用が考慮されるよう必要な施策を講ずること(2条5項)と明記され、国は、食料の持続的な供給に要する合理的な費用が考慮されるように、合理的な費用の明確化の促進その他必要な施策を講ずるものとされていた(23条)。本改正は、上記の改正食糧・農業・農村基本法に基づき国が講ずべきとされる具体的な施策を定めるものである[4]

 なお、本改正により、2018年施行の「食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律(食品等流通法)」(前身は1991年施行の「食品流通構造改善促進法」(食流法))の題名が、「食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律」(以下「食料システム法」という。)へと改められた。

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(こじま・りょうま)


アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。
2008年早稲田大学法学部卒業。2011年早稲田大学法科大学院修了。2011年-2014年三菱化学株式会社(現・三菱ケミカル株式会社)知的財産部勤務。2015年弁護士登録(第一東京)。
企業結合審査対応や流通取引に関する課題へのアドバイス等の競争法案件を多数取り扱っているほか、プラットフォーム規制についても専門的に取り扱っている。また、企業での知的財産部での勤務経験を活かし、知的財産取引や競争法と知的財産の交錯に関するアドバイスも数多く行っている。

 

(しんどう・ゆり)


アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。
2008年同志社大学法学部卒業。2011年早稲田大学法科大学院卒業。2017年弁護士登録(第一東京弁護士会)。内閣官房デジタル市場競争本部事務局および公正取引委員会へ出向し、「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」の立法作業に従事(2022年6月~2024年6月)。独占禁止法・競争法を中心に執務。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
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* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用

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