AIと米国著作権法フェア・ユース法理の最新動向(上)
――Bartz v. Anthropic PBC判決――
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士・カリフォルニア州弁護士 井 上 乾 介
1 はじめに
生成AIの開発・普及に伴い、著作物の学習利用と著作権法との関係が重要な法的・社会的課題となっている。このうち、米国では、生成AIの学習のために書籍などの著作物を大量に利用する行為が、米国著作権法の権利制限規定である「フェア・ユース(公正利用)」に該当するか否かが、実務や業界全体に大きな影響を及ぼす論点として注目を集めてきた。
このような中、2025年6月23日に米国カリフォルニア北部連邦地裁で言い渡されたBartz v. Anthropic PBC判決(以下「Bartz判決」という。)[1]は、AI学習データと著作権の関係について初めて包括的に示したものとして注目された。本稿では、フェア・ユースの概要、フェア・ユース4要素の評価に焦点を当ててBartz判決の概要を紹介する。
次稿では、Bartz判決の数日後におなじく結論としてはフェア・ユースを認めたものの、Bartz判決と重要な点で相違するKadrey v. MetaPlatforms, Inc.判決(以下「Kadrey判決」という。)[2]を紹介する。
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(いのうえ・けんすけ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LL.M.)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
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