金融審議会、「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」中間論点整理を公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 宮 川 賢 司
弁護士 香 川 遼太郎
1 はじめに
2025年1月の米国第二次トランプ政権成立以降、米国によるパリ協定離脱等の気候変動規制強化に逆行する動きが見受けられる。
しかし、EUを中心とする気候変動規制に積極的な国々においては、引き続きサステナビリティ情報の開示の重要性が認識されており、企業の負担緩和等を目的とした気候変動規制の緩和はあるものの、気候変動規制強化により低炭素社会を目指すという方向性に変わりはないものと見受けられる。
気候変動規制に関する立場が分かれる中で、わが国は、基本的にEU型の気候変動規制強化の立場を採用しているものと思われる。すなわち、2023年の企業内容等の開示に関する内閣府令の改正によって、有価証券報告書(以下「有報」という。)に、「サステナビリティに関する考え方及び取組」の項目が新設された。また、2023年6月には、国際サステナビリティ基準審議会(International Sustainability Standards Board(以下「ISSB」という。))が、国際的なベースラインとなる「全般的な開示要求事項(S1基準)」および「気候関連開示基準(S2基準)」(以下「ISSB基準」と総称する。)を公表し、これを踏まえ、2025年3月にはサステナビリティ基準委員会(Sustainability Standards Board of Japan(以下「SSBJ」という。))が、わが国で最初のサステナビリティ開示基準となる3つの基準[1](以下「SSBJ基準」という。)を公表している。
このような動向に基づいて、SSBJ基準を土台とし、サステナビリティ情報の開示やこれに対する保証のあり方について検討を行うことを目的として、金融庁の金融審議会に「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(以下「本WG」という。)が設置され、全8回にわたって検討を実施してきた[2]。
2025年7月17日、これまでの議論の中間的なとりまとめである「金融審議会 サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ 中間論点整理」(以下「本中間論点整理」という。)が公表された[3]。本稿では本中間論点整理の内容を概説する。
この記事はプレミアム向け有料記事です
続きはログインしてご覧ください
(みやがわ けんじ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャル・カウンセル弁護士。1997年慶應義塾大学法学部卒業。2000年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2004年ロンドン大学(University College London)ロースクール(LL.M.)修了。2019年から慶應義塾大学非常勤講師(Legal Presentation and Negotiation)。国内外の金融取引、不動産取引、気候変動関連法務および電子署名等のデジタルトランスフォーメーション関連法務を専門とする。
(かがわ・りょうたろう)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。早稲田大学法学部卒業。2022年弁護士登録(東京弁護士会)。執筆として「非化石証書の制度と実務」(NBL2023年11月1日号)等。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング
* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用