SH5559 「内巻」の中国市場で売る日本企業にとっての福音?――不正競争防止法と中小企業代金支払保障条例の2025年改正 若江悠(2025/09/01)

取引法務競争法(独禁法)・下請法

「内巻」の中国市場で売る日本企業にとっての福音?
――不正競争防止法と中小企業代金支払保障条例の2025年改正――

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 若 江   悠

 

1 中国市場の変化と日系企業の中国事業の転換

 競争の激化する中国市場について「内巻」(過剰な価格競争等により全員が消耗するという意味であり、involutionの訳語とも言われる。)と評されるようになって久しい。例えば自動車業界についてみれば、ここ数年の急速なNEVへの転換とこれに伴う現地ブランド車の台頭、(購入補助金の撤廃をきっかけにその口火を切ったのは米系EVメーカーではあったのだが)今も続く価格合戦により、外資ブランド車のシェアは低下し(2020年64%だったのが2024年には35%)、日系完成車メーカーも苦戦を強いられている。そのなかで、日系の部品や素材のサプライヤーも、元々は日系完成車メーカーの現地工場に供給するために中国進出していたのが、売上低下のあおりをうけ、中国現地メーカーをも顧客として販売する方向へと転換せざるをえなくなっている(あるいは、やむをえず事業の閉鎖や現地株主への持分譲渡等を行うことになる場合もある。)。以前からそのような傾向のあった他の業界についても、近年そのような動きが加速しているようにも思われる。

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(わかえ・ゆう)

長島・大野・常松法律事務所パートナー。2002年 東京大学法学部卒業、2009年 Harvard Law School卒業(LL.M.、Concentration in International Finance)。2009年から2010年まで、Masuda International(New York)(現 NO&Tニューヨーク・オフィス)に勤務し、2010年から2012年までは、当事務所提携先である中倫律師事務所(北京)に勤務。 現在はNO&T東京オフィスでM&A及び一般企業法務を中心とする中国業務全般を担当するほか、日本国内外のキャピタルマーケッツ及び証券化取引も取り扱う。上海オフィス首席代表を務める。

 

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