CCS事業法の施行に向けた政府内検討状況について
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 大 槻 由 昭
1 はじめに
去る2024年5月17日付にて、二酸化炭素の地中貯留(Carbon dioxide Capture and Storage)に関する「二酸化炭素の貯留事業に関する法律」(令和6年法律第38号)(以下「CCS事業法」という。)が成立し、同年5月24日付で公布された。その後、同年11月18日付で、同法の規定のうち、試掘に関連する規定が、すでに施行されている[1]。
他方、CCS事業法のうち、試掘関連規定以外の残りの規定については、同法の附則1条本文の規定により2026年5月23日までに施行されること、すなわち、同日までに、同法の規定の全面施行が予定されている。なお、同法下において予定されている貯留事業の制度(貯留事業の許可その他)の概要については、下図をご参照されたい。
出典:経済産業省、環境省「貯留事業の制度検討について」(令和7年9月)[2] 6頁
このたび、かかるCCS事業法の全面施行に向けて、その制度設計の詳細を検討するべく、経済産業省内に、新たに「CCS 事業制度検討ワーキンググループ」(以下「本ワーキンググループ」という。)が設置された[3]。本稿では、本ワーキンググループの第1回会合での主な議論を概説する。
この記事はプレミアム向け有料記事です
続きはログインしてご覧ください
(おおつき・よしあき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所 スペシャルカウンセル。2004年東京大学法学部卒業。同年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2011年 南カリフォルニア大学(USC)・ロースクール(LL.M.)修了。2012年 ニューヨーク州弁護士登録。主に資源エネルギー分野を中心に取り扱っており、とりわけ、外資系の鉱山会社による日本での鉱業権(試掘権及び採掘権)の取得案件や、それに関連するM&A取引等の案件を多く取り扱っている。また、LNG(液化天然ガス)を海外から調達する取引をはじめ、電力ガス会社が関与するM&A取引等についても有数の実績を有する。独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の案件等に多く関与しており、資源の上流開発案件についての知見を多く有している。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング
* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用