SH5602 「速報・詳解 会社法改正動向」第6回会議 速報 佐賀洋之/角田怜央(2025/10/20)

組織法務経営・コーポレートガバナンス株主総会

速報・詳解 会社法改正動向
第6回会議 速報

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 佐 賀 洋 之

弁護士 角 田 怜 央

 

1 第6回会議の開催

 2025年10月1日、法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会の第6回会議が開催された。法務省のウェブサイトには、その議題等、議事概要および資料が掲載されている[1]

 第6回会議以降は、いわゆる「二読」と呼ばれ、従前の議論を踏まえて、論点ごとにより深い検討をすることが想定されている。したがって、本稿において紹介する部会資料も、第2回から第5回のいわゆる「一読」段階での議論の内容を振り返りつつ会議における討議事項を確認する構成がとられている[2]

 第6回会議の議題は、株式の発行の在り方に関する規律の見直しに関する論点およびその他の論点の検討である。具体的には、①株式の無償交付の対象範囲の見直し、②株式交付制度の見直し、③現物出資制度の見直しが審議対象として設定された。

 本稿では、上記ウェブサイトに掲載された「部会資料6」に沿って、これらの検討事項の概要を解説する。

 

2 株式の無償交付の対象範囲の見直し[3]

 第2回会議では、既存株主の利益に配慮する観点から、使用人等に対する株式の無償交付を認める場合の基本的な枠組みについて、公開会社においては、株主総会の決議を要件とせずに取締役会の決議のみで使用人等に対する株式の無償交付を可能にすることとした上で、有利発行規制に服するものとする【A案】と、株主総会の決議により使用人等に対する株式の無償交付を可能にすることとした上で、有利発行規制に服しないものとする【B案】の2案をたたき台として、議論がなされた。

 部会資料6において紹介されている、第2回会議でみられた【A案】および【B案】それぞれを支持する論拠は概要下表のとおりであり、部会資料6では、①機動的な株式の無償交付が可能になるかという点、および、②使用人等に対する株式の無償交付が有利発行に当たる場合がどの程度あるか(有利発行による希釈化のおそれへの対処としていかなる規律が適切か)という2点に関する評価の差異が両案の分岐点の1つになっていると整理されている。

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(さが・ひろゆき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2012年東京大学法学部卒業・2014年東京大学法科大学院修了。2015年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2021年米国Columbia University School of Law (LL.M.)修了。2022年ニューヨーク州弁護士登録。主に国内外のM&A、ベンチャー投資、一般企業法務、株主総会対応等のコーポレート案件を取り扱っている。

 

(かくた・れお)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2022年東京大学法学部卒業。2024年弁護士登録(第一東京弁護士会)。

 

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