安全保障貿易に係る機微技術管理ガイダンス(大学・研究機関用)の改訂
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 鈴 木 潤
弁護士 石 川 雅 人
1 はじめに
2025年9月24日、経済産業省は、大学・研究機関における外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」という。)の遵守および効果的な体制整備と、機微技術管理の向上の促進を目的とした、「安全保障貿易に係る機微技術管理ガイダンス(大学・研究機関用)」[1](以下「ガイダンス」という。)を改訂した(以下「本改訂」という。)。
経済産業省においては、デュアルユース技術の重要性の高まりや輸出管理レジームに参加していない技術保有国の台頭などの安全保障環境の変化を受け、汎用品・汎用技術の軍事転用可能性の高まりに対応すべく、キャッチオール規制(補完的輸出規制)の見直しを行ったところであり[2]、本改訂は、同年10月9日に施行された同見直しに対応するためのものである。
本稿においては、ガイダンスの概要や改訂のポイントについて解説する。
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(すずき・じゅん)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャル・カウンセル。2004年慶應義塾大学法学部卒業。2006年立命館大学法科大学院卒業。2009年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2015年米国ジョージ・ワシントン大学ロースクール(LL.M.)修了。2017年ニューヨーク州弁護士登録。2024年7月まで2年間、外務省総合外交政策局経済安全保障政策室において、経済安全保障推進法、外為法、重要土地等調査法、重要経済安保情報保護活用法等の設計や運用にかかる体制整備等を担当。それ以前は、日系事業会社の本社及び米国グループ会社の法務部において経済安全保障部門の立ち上げに関与した他、グループ全体の経済安全保障に関するコンプライアンス体制の整備、投資案件等の個別案件を担当。
(いしかわ・まさと)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2010年東京大学法学部卒業。2010年警察庁入庁(~2021年)。2017年京都府警察本部警備部外事課長。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。危機管理・不正調査、経済安全保障等を取り扱う。主な著書・論文:「知的財産法×AI(2)—実務における生成AI活用と「著作権者の利益」への配慮②」(有斐閣Online、2025)、「SH5548 重要経済安保情報保護活用法のガイドラインおよびQ&Aの公表」(商事法務ポータル、2025)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
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