金融庁、金融審議会暗号資産制度に関するワーキング・グループ(第4回)
岩田合同法律事務所
弁護士 豊 岡 啓 人
1 はじめに
2025年4月10日、金融庁は、昨今の暗号資産に係る取引の実態等を踏まえた検証結果を取りまとめた、「暗号資産に関する制度のあり方等の検証」と題するディスカッションペーパーを公表した。同ペーパーでは、暗号資産の現状として、急速に暗号資産の投資対象化が進展していること、ブロックチェーン技術を基盤とする暗号資産取引の拡大はデジタルエコノミーの進展につながり得るほか、適切な投資環境が整備されれば分散投資の対象にもなり得る等の好ましい影響が期待されること、他方で詐欺的な投資勧誘も多数発生している状況にあること等が指摘されている。その上で、同ペーパーは、今後暗号資産取引市場が健全に発展するためには、更なる利用者保護が図られ、暗号資産取引について国民から広く信頼を得つつも、他方で規制を過重なものとするあまり利用者や事業者が海外流出し競争力が低下するという事態は避ける必要もあるとして、利用者保護とイノベーションの促進のバランスを取りながら、下図の喫緊の課題に対応する必要があるとした。
金融庁令和7年4月10日付「ディスカッション・ペーパー『暗号資産に関連する制度のあり方等の検証』(概要)」3頁より抜粋。
以上を背景に、同年6月25日、金融担当大臣からの諮問を受けて、暗号資産制度に関するワーキング・グループが金融審議会に設置された。本稿では同グループの同年10月22日開催の第4回時点の議論状況を概説する。
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(とよおか・ひろと)
岩田合同法律事務所弁護士。2014年東京大学法学部卒業、2016年同大学法科大学院修了。2017年弁護士登録、2018年から2022年まで石嵜・山中総合法律事務所勤務。人事労務分野を中心に企業法務全般を取り扱う。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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金融庁、金融審議会暗号資産制度に関するワーキング・グループ(第4回)資料
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/angoshisanseido_wg/gijishidai/20251022.html
資料4 事務局説明資料(暗号資産に係る規制の見直しについて)
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/angoshisanseido_wg/gijishidai/20251022/04.pdf
