SH3740 総務省、経産省、「情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会とりまとめ」及び同案に対する意見募集の結果、並びに「情報信託機能の認定に係る指針ver2.1」を公表 深沢篤嗣(2021/09/03)

取引法務個人情報保護法

総務省、経産省、「情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会とりまとめ」及び同案に対する意見募集の結果、並びに「情報信託機能の認定に係る指針ver2.1」を公表

岩田合同法律事務所

弁護士 深 沢 篤 嗣

 

1 はじめに

 総務省及び経済産業省が設置する「情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会」は、2021年8月25日、「情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会とりまとめ」及び同とりまとめ案に対する意見募集の結果並びに「情報信託機能の認定に係る指針ver2.1」(以下「本指針」という。)を公表した。

 同検討会は、いわゆる「情報銀行」[1]の認定スキームの在り方について検討するため2017年に設置された官民合同での検討会であり、2018年6月に情報銀行の認定に係る指針(認定を行う民間団体が、認定制度を構築・運用する際に準拠すべき基準)のver1.0を、2019年10月に同ver2.0を公表し、今般、同ver2.1となる本指針の公表がなされた次第である。

 なお、民間団体による本指針に基づく認定を受けることは「情報銀行」に関する事業を行うために必須ではないが、当該認定を受けた「情報銀行」事業者及びサービスは、安心・安全な「情報銀行」として、消費者がその個人情報を信頼して託せられる「情報銀行」であることをアピールすることが可能となる[2]

 

2 解説

 本稿では、本指針のver2.0からの改正点(下記①~⑤)につき、ポイントとなる点を解説する。

  1. ① 健康・医療分野の情報の取扱い
  2. ② 提供先第三者の選定について
  3. ③ 統制環境に問題のある事業者の扱い
  4. ④ 再提供禁止の例外について
  5. ⑤ 世帯等構成員情報の利用について
⑴ 上記①「健康・医療分野の情報の取扱い」

 情報銀行で活用ニーズの高い健康・医療分野の情報につき、本指針では、要配慮個人情報(個人情報保護法2条3項)はver2.0に引き続き認定対象外とされたものの、ver3.0において記載が可能となるよう今年度の実証を行う方向性が、検討会の議事において示されている[3]

 また要配慮個人情報自体が認定対象外とされたことを受け、「健康・医療分野の個人情報のうち要配慮個人情報に該当しない例」が明示された(下表)。

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(ふかざわ・あつし)

岩田合同法律事務所パートナー。2008年慶應義塾大学大学院法務研究科修了。2009年弁護士登録。2013年4月から2014年3月まで、金融庁証券取引等監視委員会取引調査課に出向、インサイダー取引、相場操縦行為等の調査に携わる。金融法務、企業法務等を専門とする。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>

1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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