SH3905 公取委、「新規株式公開(IPO)における公開価格設定プロセス等に関する実態把握について」調査結果を公表 藤並知憲(2022/02/10)

組織法務取引法務競争法(独禁法)・下請法資本市場・IPO

公取委、「新規株式公開(IPO)における公開価格設定
プロセス等に関する実態把握について」調査結果を公表

岩田合同法律事務所

弁護士 藤 並 知 憲

 

1 はじめに

 公正取引委員会(以下「公取委」という。)は、令和4年1月28日、「新規株式公開(IPO)における公開価格設定プロセス等に関する実態把握について」と題する調査結果を公表した[1](以下、同調査結果に係る報告を「本報告」という。)。本報告は、令和3年6月18日に閣議決定された「成長戦略実行計画」[2]、及び令和3年11月8日に新しい資本主義実現会議が決定した「緊急提言~未来を切り拓く『新しい資本主義』とその起動に向けて~」[3]において、日本のIPOでは上場後初めて市場で成立する株価(初値)が、上場時に新規上場会社が株式を売り出す価格(公開価格)を大幅に上回っており、新規上場会社は本来同じ発行株数でより多額の資金調達をし得たはずであったと指摘されていること等を踏まえ、初値が公開価格を大幅に上回る要因となり得ると考えられる事項について、競争政策・独占禁止法上の課題の有無を検討するため、公開価格の設定に係る実態、上場のための選択肢の多様性に係る実態及びIPOに係る取引慣行における独占禁止法上の論点について実態把握を行ったとして、その調査結果等を公表するものである。

 本報告では、公取委が調査中に把握した我が国でのIPOにおける取引慣行の実態の詳細が記載されているが、本稿では、同慣行と独占禁止法上の論点に関する記載を紹介する。

 

2 IPOにおける取引慣行と独占禁止法との関係

 本報告で指摘された、独占禁止法上問題となり得る行為は、①特定の証券会社をIPOの主幹事とすることの要請及び他の証券会社の主幹事引受けに係る不当な妨害、②引受手数料の料率に関する証券会社間の情報交換等、並びに③交渉力の強い主幹事証券会社により公開価格が一方的に設定される等して新規上場会社に不当な不利益を与えること、である。

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(ふじなみ・とものり)

岩田合同法律事務所弁護士。2014年慶應義塾大学大学院法務研究科修了。2015年弁護士登録。ジェネラル・コーポレートを中心に企業法務に従事するほか、商事関係訴訟、商事非訟、民事調停、保全・執行事件等を含めた、幅広い紛争対応業務を取り扱っている。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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