◇SH1959◇経産省、オフィスビル等の最寄拠点を活用した新たなEC小口配送サービスに係る倉庫業法の取扱いを明確化 武藤雄木(2018/07/11)

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経産省、オフィスビル等の最寄拠点を活用した
新たなEC小口配送サービスに係る倉庫業法の取扱いを明確化

岩田合同法律事務所

弁護士 武 藤 雄 木

 

 経産省は、本年7月3日、事業者(eコマース(EC)事業者)からの、産業競争力強化法が定める「グレーゾーン解消制度」[※]に基づく照会に対し回答を公表した。照会内容は、「事業者(EC事業者)が、オフィスビル空きスペース等を借り受け、自社商品を一時保管する場合に、当該スペースを貸与する事業者(ビルのオーナー等)の行為が、倉庫業法2条2項に規定する「倉庫業」に該当するか否か。」とのものであり、経産省の回答は、スペースを貸与する事業者は、倉庫業法2条2項に規定する「倉庫業」に該当せず、登録を受ける必要は無いというものであった。

 倉庫業法は、「寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業」を「倉庫業」と定め(同法2条2項)、倉庫業を営むためには、保管する物品に応じた施設設備基準を満たした倉庫であることなどの要件を満たした上で、国土交通大臣の行う登録を受ける必要がある(同法3条)。今般、経産省は、倉庫業とは、①物品の寄託を受けていること、②物品を倉庫において保管していること、③①及び②を行う営業であることの3つの要件を全て満たすものであるとの解釈を示した上で、スペースを貸与する事業者の行為は、商品購入者からの物品の寄託を受けておらず、また、自ら倉庫における保管を行わないため、これらの要件を満たさないと判断したものである。

 照会者であるEC事業者は、顧客の注文の度に倉庫から商品を配送する既存のサービスを改め、特定エリアの顧客に対し、消費する数量と期間が推定できる自社商品(コピー用紙等)を注文前に最寄拠点に少量移動させておき、注文があったときに最寄拠点から短時間で配送する新しいサービスの提供を実施することを予定していた。仮に拠点を提供するビルのオーナー等が倉庫業を営むものと認められれば、倉庫業の登録のために多大な投資負担が生じることとなり、事業化は困難であったと思われる。経産省の今般の回答によって倉庫業法上の取扱いが明確となり、EC事業者の商品配送に関して、オフィスの空きスペースなどを配送のハブ拠点として活用することができることが明らかとなった。

 インターネット通販の拡大により宅配便取扱数は増加し続けており、今後、配送拠点の確保が益々重要となると思われる。空きスペースの提供者の倉庫業法上の取扱いが経産省の回答によって明確化されたことから、顧客により近いところに拠点を構えることが容易になり、配送量全体の平準化による生産性の向上と顧客への迅速な配送というサービスの提供が促進されることになると思われる。

(経産省Webサイト(http://www.meti.go.jp/press/2018/07/20180703003/20180703003.html))

 


[※] 「グレーゾーン解消制度」の概要

 「グレーゾーン解消制度」は、平成26年1月に施行された産業競争力強化法9条に定められた企業単位の規制改革のための制度であり、事業者が、現行の規制の適用範囲が不明確な場合にあらかじめ規制の適用関係について、事業所管省庁を通じ、規制所管省庁に確認を求める制度である。なお、正式申請後、原則として1か月以内に回答がなされることとなっている。

 

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