◇SH2203◇消費者庁、携帯電話等の移動系通信の端末の販売に関する店頭広告表示について景品表示法上の考え方等の公表 青木晋治(2018/11/21)

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携帯電話等の移動系通信の端末の販売に関する店頭広告表示について
景品表示法上の考え方等の公表

岩田合同法律事務所

弁護士 青 木 晋 治

 

1 はじめに

 消費者庁は、携帯電話等の契約に関する店頭広告表示について、携帯電話等を安価で購入するための適用条件別に不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)上問題となるおそれのある表示例の類型について公表した。背景には、全国の消費生活センターに寄せられた携帯電話等の販売に関する相談事例において、想定外のオプション契約が必要であった、スマートフォンの回線契約のほかに光回線契約を締結させられたといった事例が見られることがあるとされている。これらの相談事例は必ずしも広告表示に起因するものではないとはいえ、事業者による適切な表示が行われることにより、一般消費者の想定外の契約締結の防止に資することから、景品表示法上の考え方等を整理することとされたものである。

 

2 景品表示法違反のおそれのある表示例

 本事例において、消費者庁は、以下(1)及び(2)の場合における景品表示法違反のおそれのある店頭広告の表示例を9類型挙げている。

(1) 販売価格の適用条件が明確に表示されておらず景品表示法上問題となるおそれのある表示例

 

(2) 台数限定や期間限定の表示が景品表示法上問題となるおそれのある表示例

 

3 「詳しくは店員に」等の表示では不十分であることに留意

(1) 有利誤認とは

 景品表示法第5条第2号は、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、価格その他の取引条件について、一般消費者に対し、以下の表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止している(有利誤認表示の禁止)。

  1. ・ 実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの
  2. ・ 競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの

 

(2) 消費省庁が公表した表示例の意義

 消費者庁が公表した表示例は、携帯電話等の移動系通信の端末の販売に関する店頭広告表示について、有利誤認表示に該当する可能性のある表示例、すなわち、「実際のものより取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される」可能性のある表示例を示すものである。

 店頭広告表示については、一定の取引条件を記載しつつも、「詳しくは店員に」と記載して適用条件について口頭等の説明で済ませているケースもあることがあり得るが、公表された表示例によれば(消費者庁公表の下記表示例参照)、そのようなケースにおいても、当該記載の文字が小さい場合や配置箇所が強調された代金表示と離れている場合など、その表示の仕方によっては、景品表示法上問題となる場合があり得ることが示されている。また、当該表示例に関連して、例えば、携帯電話等の料金の強調表示と、その打消し表示となる適用条件を表示するような場合は、一般消費者が強調表示と打消し表示の両方を正しく認識できるように、強調表示と打消し表示とを一体として認識できるように表示すること、また、一般消費者が打消し表示の内容を理解できるような内容で分かりやすく表示することが求められるとされている。

 これらの問題は、携帯電話等の販売業者固有の問題ではなく、それ以外に事業者にとっても類似の表示により広告をする場合には、景品表示法上問題となる表示との指摘を受ける可能性を示すものであり、自社の提供する商品・サービスの取引条件について、実際よりも有利であると誤認されるような態様となっていないか再検証する上で参考になると思われる。

 

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