LIXILグループ、指名委員会名・社外取締役候補者名によるメッセージを継続公表
――定時総会前最終盤の表明、提案株主らの申立てによる総会検査役は選任の決定――
LIXILグループは6月17日、同社指名委員会から「株主の皆様へ向けた別添のメッセージが提出され」たとし、公表した。これに先立つ14日には、会社提案の社外取締役候補者6名から同社に対し「投資家の皆様へ」と冠した声明「株式会社LIXILグループの経営正常化へ向けて(社外取締役候補者における経営課題に関する検討状況)」が提出されたとして同様に公表している。
6月25日開催の定時株主総会に向けて同社では5月13日、会社提案の取締役候補者の発表に際し、指名委員会名による詳細な「取締役候補者の決定・指名理由及び提言」を公表(SH2549 LIXILグループ、現任者を含まない構成に刷新する取締役候補者を発表 (2019/05/22)既報)。また、同月30日には社外取締役候補者7名による「株式会社LIXILグループの経営正常化へ向けた重要メッセージ」を公表し(SH2597 LIXILグループ、社外取締役候補者7名の連名によるメッセージを公表 (2019/06/12)既報)、現任取締役の刷新を軸とする意見を継続して明らかにしてきたところである。
6月14日公表の「株式会社LIXILグループの経営正常化へ向けて(社外取締役候補者における経営課題に関する検討状況)」は、5月30日の「重要メッセージ」と同様に社外取締役候補者の連名で表明されたもの。ただし、7名の連名であった「重要メッセージ」におけるカート・キャンベル氏の名は見当たらず、6名の連名となった。
今般の声明は「私たち社外取締役候補者(鬼丸氏及び鈴木氏を除く。以下同じです。)は、……株式会社LIXILグループの株主総会後における経営の継続性に関して協議を進めております」として社外取締役候補者らの取組状況を知らせるもので、「1. 基本的な考え方」を明らかにしたうえで「2. 喫緊に取り組むべき課題」を列挙。併せて「3. 役割分担案」を示すほか、「4. 執行役や幹部社員との対話を通じた経営課題の把握」「5. 株主提案候補者との対話」「6. 次期CEOサーチ」について方針・経過を説明している。
上記「2.」に関しては(a)コーポレートガバナンスの立て直し、人心の一新、全社一丸での経営の正常化、(b)喫緊の経営課題に対する速やかな対策立案の2つに大別し、(b)において「経営諮問委員会を取締役会に発足する」「執行側に戦略策定チームを組成する」「経営戦略(事業計画)を見直す」といった大方針を掲げる。経営戦略(事業計画)の見直しに絡んでは、①過去に経営執行部門が策定してきた経営戦略・事業計画のレビュー、今後の方向性の見直し、②経営戦略・事業計画のレビューを通じ、次期CEOに期待するミッションの明確化、③赤字の海外事業の改革(特にPermasteelisa S.p.A.の問題への重点的な対応)、M&A戦略などへの優先的取組みを挙げた。また上記「3.」では、指名・監査・報酬の各委員会における委員長候補者などの名を明らかにしている。
6月17日に公表された指名委員会名によるメッセージは「10名の新任取締役候補者の指名理由とその選定過程」を特に「株主の皆様」に宛てて説明するもので、「英文で書かれた原文を日本語に翻訳した」とする記述が添えられた。今般のメッセージにおいても「取締役候補者を検討するにあたり、当社指名委員会が重要だと考えたのは、まず現在の取締役会を引き継ぐことはせず、全く新しい取締役候補者を選定すること」という点が強調されており、続いて次の説明がみられる。「次に、候補者に占める独立取締役の比率を、過半数を大きく上回る水準に引き上げること。そして、瀬戸氏が提案した候補者を含め、最良の候補者の中から選定することでした」。
一方で、その瀬戸氏(現任取締役、昨年10月末まではCEO)らから株主提案されている「瀬戸氏側の候補の現任の取締役を指名しなかった理由」や「瀬戸氏の提案の、全員一括での選任という考え方」に対する見解も表明したうえで、「最終的に新たな取締役としてどの候補者を選任するのかは、定時株主総会での株主の皆様の判断に委ねられています」と結んでいる。
なお、同社からは6月7日、瀬戸氏を含む12株主から東京地裁に対し「定時株主総会の招集の手続き及び決議の方法を調査させるため」株主総会検査役の選任の申立てを行った旨の通知を受領したと発表されていたところであるが、同月14日の同社発表によれば、東京地裁より同日、検査役を選任する旨の決定を受領したとのことである。