◇SH1825◇アルメディオ、平成29年3月期において分配可能額を超えた配当を実施していたと公表(2018/05/10)

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アルメディオ、平成29年3月期において分配可能額を超えた配当を実施していたと公表

--分配可能額算定の計算式に誤り--

 

 アルメディオは4月17日、平成29年3月期において、会社法等に基づく分配可能額を超えて配当金を支払っていたことが判明したと公表した。その後、同社は「社内調査委員会」を発足し、「本件事実の概要、経緯及び発生の原因を明確にし、今後の対応を検討する」こと、さらに同調査委員会の調査結果の検証と役員の責任の所在を外部の専門家による第三者委員会(委員長=酒井邦彦弁護士)に委託することを4月20日に公表した。

 そして、4月27日に、社内調査委員会による調査結果および現時点の再発防止策を公表した。

 同社によると、平成29年5月12日の取締役会において、平成29年3月31日を基準日とする1株当たり2.5円の期末配当金を支払うことを株主総会へ上程することを決議し、平成29年6月27日の第37期定時株主総会において同議案が原案通り承認可決され、同月28日より配当金の支払いを行った。

 その後、平成30年3月期末決算に関する監査手続の中で、本年4月17日に、同社の会計監査人である明治アーク監査法人の指摘により、平成29年3月期末の時点で会社法・会社計算規則に従って算定される剰余金の分配可能額が不足していたにもかかわらず、配当を実施していたことが確認されたものである。

 なお、4月20日公表の資料によると、同社の中国子会社(有限公司)が平成28年12月期末から親会社である同社に対して配当することが可能となっていたにもかかわらず、その董事会において配当手続を行うことを失念していた。その後、平成29年7月21日に配当決議を行い、約6,600万円の利益配当を受けており、「その時点で剰余金の分配可能額の不足を回復できていたこと、連結ベースでみれば剰余金に不足はなく実質的に本件配当が当社債権者を害する可能性は著しく低かった」として、本件配当金を受領した株主に返還を求めることはしない、としている。

 以下では、同社の公表資料(4月27日公表分)から、本件の発生原因の分析や現時点での再発防止策等を紹介する。

 

○ 社内調査により判明した事実

 当社は、毎期、配当に関する議案作成の前提となる会社法所定の「分配可能額」を当社経理部が算定し、当社総務部及び当社企画部に回覧し検証を実施し、当社取締役会において配当方針が決定されていました。しかし、本件に関する配当に係る会社法及び会社計算規則に定める分配可能利益の計算において、当社経理部作成の当社単体ベースでの計算式では、会社法で求められる自己株式の帳簿価格の減算(会社法第461条第2項第3号)が行われずに分配可能額が計算され、当社総務部及び当社企画部がかかる計算式に対する金額入力及び計算結果の確認という検証を行うのみで、計算式の誤りを発見することができず、結果的に会社法及び会社計算規則により算定した分配可能額が不足しているにもかかわらず、かかる配当金を支払いました。なお、上記計算式の誤りは当社経理部が同計算式を作成した時点から存在し、以後、当社はかかる計算式の内容を再検討することなく使用し続けておりました。また、同計算式を使用した配当金の支払いについて、過年度においても、当社と監査法人等とのレビュー手続き(計算書類を含む株主総会招集通知のチェックを含みます。)において、かかる計算式の誤りを検出することはできず、その計算式の誤りに関する監査法人からの指摘は平成30年4月17日が初めてでありました。

 他方、平成29年5月12日の当社取締役会においては、当社連結ベースでの剰余金から当社の自己株式を控除した後の分配可能額が、平成29年3月末日時点で約335百万円存在したことから、当社単体ベースでも分配可能額が存在することに疑いを抱かず、担当取締役もその違法性に気付かず議案を説明し、その場に出席した取締役及び監査役全員も配当議案の違法性に気付きませんでした。

 

○ 本件の発生原因の分析

  1. ① 配当に関する議案作成の前提となる会社法所定の「分配可能額」は、当社経理部が算定し、当社総務部及び当社企画部に回覧し検証、取締役会において配当方針が決定されておりました。しかし、当社経理部作成の計算式では、会社法で求められる自己株式の減算が考慮されていないという誤りが存在しました。同誤りは当社経理部が同計算式を作成した時点から存在し、同計算式を回覧部門である当社総務部及び当社企画部が特に認識することなく使用し続けて、金額の入力と計算結果について確認を行ったにすぎないことによります。当社経理部作成の「分配可能額」算定の計算式自体を疑うことなく使用し続けたことが本件の発生の最大の原因といえます。
  2. ② 上記①における「分配可能額」の計算式の作成後、同計算式の見直しが行われていませんでした。
  3. ③ 株主総会招集通知(計算書類を含みます。)について、会計監査人及び外部専門家を過度に信頼し、自らの確認が疎かでありました。
  4. ④ 当社総務部及び当社企画部においては、当社経理部による算定の誤りを発見できる仕組みになっていませんでした。
  5. ⑤ 当社顧問弁護士に株主総会招集通知や参考書類の法令チェックを依頼していませんでした。

 

○ 現時点の再発防止策

  1. ①「剰余金の分配可能額計算書」を毎年見直し、当社経理部、当社総務部及び当社取締役会でそれぞれチェックを行います。尚、配当実務担当者及び当社取締役における分配可能額の確認方法等につきましては、具体的に定めることとします。
  2. ②「剰余金の分配可能額計算書」のチェックを、当社会計監査人及び会社法に精通した顧問弁護士等に依頼します。
  3. ③ 当社役員及び配当実務担当者に必要な法令知識を習得させるため、会社法、金融商品取引法などの外部セミナーに積極的に参加させます。

 

 

  1. アルメディオ、分配可能額を超えた前期末の配当金について(4月17日)
    http://www.almedio.co.jp/almedio_cms/wp-content/uploads/2018/04/6d051f51ab1e213297e0c804f10eff54.pdf
  2. ○ アルメディオ、分配可能額を超えた前々期末の配当金に関する社内調査委員会及び第三者委員会設置に関するお知らせ(4月20日)
    http://www.almedio.co.jp/almedio_cms/wp-content/uploads/2018/04/d048ee0f3f182e1d902c7438e8c0176d.pdf
  3. ○ アルメディオ、分配可能額を超えた前々期末の配当金に関する一連の経緯及び再発防止策について(4月27日)
    http://www.almedio.co.jp/almedio_cms/wp-content/uploads/2018/04/5ce434bdf03c4b5ba0c39473887f2fcd.pdf

 

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