◇SH2862◇財務省、「外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案」 臼井幸治(2019/10/31)

未分類

財務省、「外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案」

岩田合同法律事務所

弁護士 臼 井 幸 治

 

 財務省は、本年10月18日、外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」という)の一部を改正する法律案が閣議決定されたことについて、報道発表した。

 外為法は、外国為替、外国貿易その他の対外取引を総合的に対象とする法律であり、我が国の対外取引の基本法となっており、対内直接投資については、投資自由の大原則の下、原則事後報告制としつつも指定業種につき一律事前届出の対象としている。2017年には、安全保障の観点から国の安全に関する投資に関して、無届けや虚偽届出により対内直接投資等を行った外国投資家に株式売却等の命令を行うことができる制度を創設した(事後措置命令の導入)ほか、外国投資家が他の外国投資家から国の安全を損なうおそれが大きい業種に係る非上場株式を取得する行為を事前届出制の対象とする等、対内直接投資等規制の強化を行う内容での改正が行われている。

 今般の改正では、上記改正後に、2018年8月に米国、2019年3月に欧州で新法や新規則が成立する等、安全保障等の観点からの対応強化の流れを受けて、国の安全等を損なうおそれがある投資に適切に対応するための更なる内容の改正を予定している。

 具体的には、国の安全等に係る航空機等の事前届出対象業種について(後記表参照)、事前届出の対象を、現行の要件である発行済み株式数の10%以上から同1%以上に厳しくすることを予定している。

 他方で、日本経済の発展に寄与する健全な対内直接投資については、投資家の負担をできる限り軽減し、一層促進する必要があることから、対内直接投資案件の太宗を占めるポートフォリオ投資等について事前届出を免除することを予定している。なお、①届出免除を受ける投資家が守る基準(主要例については現状後記3つが示されている)を定め、②政令・告示により、国の安全等を損なうおそれがある投資を免除の対象外として外形的に明確化し、③事後報告、勧告・命令を必要に応じ行うことにより、免除基準の遵守を担保する手当もあわせて予定している。

 このように、今般の改正では、事前届出の対象を厳格にする一方で、事前届出免除制度を導入する等の改正を行い、メリハリのある対内直接投資制度の整備が目指されている。報道によれば、本国会での改正法案成立を目指す政府の方針に変わりはないとのことであり、近い将来の改正が見込まれることから、その動向に注視していく必要がある。

 

<事前届出対象業種>

国の安全 武器、航空機、原子力、宇宙関連、軍事転用可能な汎用品の製造業、サイバーセキュリティ関連
公の秩序 電気・ガス、熱供給、通信事業、放送事業、水道、鉄道、旅客運送
公衆の安全 生物学的製剤製造業、警備業
日本経済の円滑運営 農林水産、石油、皮革関連、航空運輸、海運

 

<届出免除を受ける投資家が守るべき基準(主要例)>

◇ 外国投資家自ら又はその密接関係者が役員に就任しないこと

◇ 重要事業の譲渡・廃止を株主総会に提案しないこと

◇ 国の安全等に係る非公開の技術情報にアクセスしないこと

以上

タイトルとURLをコピーしました