◇SH0229◇シャルレ株主代表訴訟判決の争点と課題(2) 丹羽繁夫(2015/02/25)

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シャルレ株主代表訴訟判決の争点と課題(2)

-神戸地判平成26年10月16日-

一般財団法人 日本品質保証機構

参与 丹 羽 繁 夫

(2) 本件MBO計画の概要

 -同社の発行済株式総数(21,034,950株)の18.08%(3,802,432株、同社総議決権の19.63%)を所有する有限会社サザンイーグル及び同じく発行済株式総数の7.52%(1,581,050株、同社総議決権の8.16%)を所有する有限会社オットー(以上の2社を併せて「公開買付者ら」)が、公開買付者として、同社の自己株式を除く発行済株式(19,380,335株)の全てを取得する。公開買付者らは、MSがファイナンシャル・アドバイザリー業務を提供する投資ファンドが直接又は間接に支配する、本件MBO計画のために設立された株式会社Tomorrow(以下「Tomorrow」)が直接又は間接に発行済株式の100%を保有する特例有限会社である;

 -創業家一族は、公開買付者らとの間で、その保有する同社株式の全て(合計5,413,124株、同社総議決権の27.9%)について、本公開買付けに応募する;

 -公開買付者らは、同社の自己株式を除く発行済株式総数から公開買付者らが保有する株式数(5,383,482株、同社総議決権の27.80%)及び創業家一族が保有する株式数を控除した株式数の過半数に相当する株式数(4,291,865株)の応募がなければ、本公開買付けは成立しないものとする;

 -公開買付者らは第三者算定機関であるアーンストアンドヤング・トランズアクション・アドバイザリー・サービス株式会社(以下「EYTAS」)に公開買付価格の算定を依頼し、EYTASは市場評価法、類似会社比準法(EBITDA倍率方式)及びディスカウント・キャッシュフロー法(以下「DCF法」)を用いて同社の株式価値を算定した。EYTASは、市場評価法では、評価基準日を平成20年9月16日として、過去3か月間の終値の最小値と最大値を採用し、1株当たりの株式価値を498円~600円と算定した。類似会社比準法では、類似企業のEBITDA倍率を採用し、1株当たりの株式価値を599円~855円と算定した。DCF法では、1株当たりの株式価値を646円~908円と算定した;

 -公開買付者らは、本公開買付け成立後に、全部取得条項付種類株式の発行を可能とする定款変更を行い、同社の発行済普通株式の全てに全部取得条項を付した上で、その全てを取得する;

 -創業家一族は、平成20年9月18日に、MS、及びハヤテが運用助言を行う投資ファンドK&H L.P.(以下「ハヤテ・ビークル」)との間で、MBO基本契約書(以下「MBO基本契約」)を締結した。創業家一族は、MBO基本契約に基づき、本公開買付け終了後に、ハヤテ・ビークルに対してリミテッド・パートナーとして出資を行い、ハヤテ・ビークルは、Tomorrowが行う第三者割当増資を引き受け、当該第三者割当増資が実行された場合には、MS及びハヤテ・ビークルはTomorrowの発行済株式総数のそれぞれ50.8%、49.2%を保有する計画であった。

(つづく)

 

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