SH3710 ホビージャパン、SNS等で不適切な発言を行った従業員を退職処分 藤並知憲(2021/08/06)

そのほか労働法

ホビージャパン、SNS等で不適切な発言を行った従業員を退職処分

岩田合同法律事務所

弁護士 藤 並 知 憲

 

1 ホビージャパン従業員によるSNSでの不適切とされる発言

 本年7月26日、株式会社ホビージャパン(以下「HJ社」という。)は、「弊社社員のSNS等での不適切発言に関する社内処分につきまして」とのニュースリリースにおいて、SNS等での投稿を理由に従業員を退職処分としたことを公表した。同ニュースリリースでは、「不適切発言」の詳細等は明らかにされていないが、報道によると、HJ社が発行する「月刊ホビージャパン」の編集者が自身のSNSで、ホビー商品の買い占め行為、転売行為を容認するかのような発言をしたとのことである[1]

 SNSは、有用なコミュニケーションツールである一方で、SNSでの投稿がインターネット上で多数の批判にさらされる、いわゆる「炎上」状態となり、当該投稿を行った個人のみならず、当該個人が所属等する企業・団体にもその批判が向けられるという事態が見られる。

 

従業員等の投稿による近時の「炎上」事案の一例
  1.   企業が運営するウェブサイトに関する業務を委託していた編集者が、SNSの個人アカウントでテニス選手に対する差別的な投稿を行った事案。当該企業は、当該編集者との契約を解除したと発表した[2]
  2.   飲食店チェーンを展開する企業のアルバイト従業員らが、配膳用トレーで裸の下半身を覆う動画をSNSに投稿した事案。当該企業は、当該アルバイト従業員らを退職処分とするとともに、再発防止策を実行していく旨を発表した[3]
  3.   大学教授が、セクハラに関して不適切な発言をSNSに投稿した事案。当該大学は、学長名での謝罪文を公表した[4]

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(ふじなみ・とものり)

岩田合同法律事務所弁護士。2014年慶應義塾大学大学院法務研究科修了。2015年弁護士登録。ジェネラル・コーポレートを中心に企業法務に従事するほか、商事関係訴訟、商事非訟、民事調停、保全・執行事件等を含めた、幅広い紛争対応業務を取り扱っている。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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