◇SH2412◇内閣府、第1回 働き方の多様化に資するルール整備に関するタスクフォース 藤原宇基(2019/03/19)

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内閣府、第1回 働き方の多様化に資するルール整備に関するタスクフォース

岩田合同法律事務所

弁護士 藤 原 宇 基

 

 平成31年3月8日、政府の規制改革推進会議内に設けられた「働き方の多様化に資するルール整備に関するタスクフォース」(以下「タスクフォース」という。)の第1回が開催され、副業・兼業、テレワークに関するヒアリングが行われた。

 

1. タスクフォース設置の趣旨

 規制改革推進会議の第3期後期は、①革新的ビジネスを促す規制・制度の改革、②働き方改革に資する規制・制度の改革、③地方創生のための規制・制度改革を3本の柱としている。その中で、②働き方改革に資する規制・制度の改革については、(ⅰ) ジョブ型正社員のルールづくり、(ⅱ) 介護離職ゼロに向けた対策の強化、(ⅲ) 副業・兼業やテレワーク等におけるルールの明確化、(ⅳ) 各種国家資格における旧姓使用の範囲拡大が重点事項とされている。

 このうち、(ⅲ) 副業・兼業やテレワーク等におけるルールの明確化については、本会議の他に専門的検討が必要であるとして、タスクフォースが設けられた。タスクフォースでは、労働者が副業・兼業及びテレワークといった新たな働き方を希望する場合に阻害する要因はないか、また、特に副業としての日雇い派遣についての現在の規制が妥当なものかについて、専門的検討が行われる。

 構成員は、八代尚宏(主査)(経済学者)、飯田泰之(経済学者)、江田麻季子(元インテル日本法人代表取締役社長)、島田陽一(労働法学者)である。

 

2. 副業・兼業、テレワークに関する検討事項

 働き方改革実行計画(平成29年3月28日 働き方改革実現会議決定)では、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」として、「雇用型テレワークのガイドライン刷新と導入支援」「非雇用型テレワークのガイドライン刷新と働き手への支援」「副業・兼業の推進に向けたガイドラインや改定版モデル就業規則の策定」が挙げられた。

 これを受けて、副業・兼業に関しては、厚生労働省が、平成30年1月に、副業・兼業について、現行の法令下での留意点をまとめたガイドライン(「副業・兼業の促進に関するガイドライン」https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/03/0000192844.pdf)を策定し、また、モデル就業規則を改定して、副業・兼業に関する規定を新設した。しかし、実際は、企業では正社員が副業を行うことについての抵抗も大きく、副業・兼業が進んでいないようにも見受けられることから、タスクフォースでは、正社員による副業・兼業を進めるよう企業に変化を促す方法が無いか検討される予定である。

 テレワークに関しても、働き方改革実行計画を受けて、従来の「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」が改定され、「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」(平成30年2月22日)が策定されたが、未だ、テレワークに関する明確なルールが無いために利用を躊躇している企業も見受けられることから、タスクフォースでは、テレワークに関する規制、ルールを作ることが検討される予定である。

 

3. 日雇い派遣に関する検討事項

 平成24年の労働者派遣法改正により、日雇い派遣(労働契約の期間が30日以内の短期の労働者派遣)は原則として禁止されることとなった(労働者派遣法35条の4)。ただし、日雇い派遣の禁止には例外があり、60歳以上の者、雇用保険の適用を受けない学生、年収500万円以上の者で副業として日雇い派遣に従事する者、世帯年収の額が500万円以上の主たる生計者以外の者については日雇い派遣禁止の対象外とされ(労働者派遣法35条の4第1項、同法施行令4条2項)、また、ソフトウェア開発や機械設計等、専門的な業務で適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる一定の業務についても日雇い派遣禁止の対象外とされた(労働者派遣法35条の4第1項、同法施行令4条1項)。もっとも、実務上は、年収500万円未満の者であっても日雇い派遣に従事したいと希望する者は多く、また、専門的な業務以外でも日雇い派遣を求める企業は多いことから、実態とニーズに則した再検討を求める声は多く、タスクフォースでは、副業の拡大という観点から日雇い派遣規制の合理化を図ることができないか検討される予定である。

 

4. 実務上の対応

 上記のとおり、政府としては、働き方改革の一環として、副業・兼業、テレワーク、日雇い派遣の利用を促進する方針であるが、一方、企業としては、タスクフォースに提出した小蔦典明教授(関西外国語大学)作成の資料に記載されているように[1]、これらを無制限に受け入れた場合、現場の混乱を招き、企業にとって利益とならないことも考えられることから、各制度が、自社に適合するものであるか慎重に見極めつつ導入を検討することが望ましい。

タスクフォースにおける検討事項 関連する法令・ガイドライン
  1. ・ 副業・兼業を促進する方法の検討
  2. ・ テレワークに関する規制、ルールの策定
  1. ・ 労働基準法(労働時間規制)
  2. ・ 労働安全衛生法(長時間労働者の健康確保)
  3. ・ 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
  4. ・ 副業・兼業の促進に関するガイドライン
  5. ・ 情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン
  1. ・ 日雇い派遣の規制の合理化
  1. ・ 労働者派遣法(日雇い派遣の禁止 35条の4)


以上



[1] 資料1-1 「副業・兼業およびテレワークをめぐる問題について」:勤務時間内に副業・兼業を行うことは企業として到底認めることはできず(多くの場合、副業・兼業を行わない者との間で軋轢が生じるのを避けられない)、勤務時間外に行われる場合にも、安全配慮義務の問題をはじめ、未解決の問題が数多く残されている以上、これを無制限に認めるようなことは躊躇せざるを得ない。こうした現実にも、目を向けるべきではないか。

 

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