◇SH2467◇国交省、不動産クラウドファンディング 規制の明確化等により使いやすく 大櫛健一(2019/04/10)

未分類

国交省、不動産クラウドファンディング 規制の明確化等により使いやすく

不動産クラウドファンディングに係るガイドラインの策定等

岩田合同法律事務所

弁護士 大 櫛 健 一

 

 国交省は、平成31年3月29日、不動産特定共同事業法(以下「不特法」という。)及び同法に基づく不動産クラウドファンディング(以下「不特法クラウドファンディング」という。)の一層の活用促進等を図るため、不特法の電子取引業務ガイドライン(以下「ガイドライン」という。)を策定するとともに、その他の関連する制度改善等を行うことを公表した。

 不動産クラウドファンディングは、投資対象(現物不動産、不動産担保貸付債権、不動産信託受益権等)や投資手法によって様々なバリュエーションがあり、適用法令(金商法、貸金業法、不特法等)も異なる。これらのうち、不特法クラウドファンディングにおいて予定されている取引類型は、不動産特定共同事業(以下「不特事業」という。)に関する以下の3つである(下表を合わせて参照のこと)。

  1. ① 1号事業者(不特法2条4項1号に掲げる行為、すなわち不特事業契約(以下「不特契約」という。)を締結して当該契約に基づき営まれる不動産取引から生じる利益又は利益の分配を行う事業者。以下同じ。)が自らインターネット上で投資家を勧誘する場合
  2. ② 1号事業者から委託を受けて2号事業者(不特法2条4項2号に掲げる行為、すなわち不特契約の締結の代理又は媒介を行う事業者)が投資家を勧誘する場合
  3. ③ 特例事業(SPCを用いて行う不特事業)において、4号事業者(不特法2条4項4号に掲げる行為、すなわちSPCを当事者とする不特契約の締結の代理又は媒介を行う事業者)が投資家を勧誘する場合

 

国交省の資料に基づき作成

 

 不特法クラウドファンディングは、平成29年の不特法改正(同年12月1日施行)により既に行い得ることとなっている。国交省から公表されている「不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項について」においても一定の留意事項が定められ(第7-9)、現に事業を行っている事業者も存在する。

 今般のガイドライン策定は、その一層の活用促進等を図るためにより詳細なルールを制定するものであり、既に、ガイドライン案は、平成30年12月27日に公表されてパブリックコメント手続に付され[1][2]、平成31年3月29日にその結果が公表された[3]

 ガイドライン案は、⑴目的、⑵適用対象、⑶適用時期、⑷総則、⑸商号等の表示、⑹電子情報処理組織の管理、⑺適切な審査、⑻クーリングオフ、⑼定期的な情報提供、⑽重要事項の閲覧、及び、⑾分別管理の徹底の11項目からなる。これらのうち、実務上の影響が大きい重要項目としては、事業者のコストと投資家の利益が対立しやすい⑹電子情報処理組織の管理及び⑺適切な審査が挙げられる。パブリックコメントの結果を見ても、意見や質問はこれらの2項目に集中している。

 ガイドライン案の内容面では、これら2項目を含めて、第二種金融商品取引業協会(以下「二種金業協会」という。)が金商法に基づくクラウドファンディングに関して制定・公表している「電子申込型電子募集取扱業務等に関する規則」(以下「電子規則」という。)が参考にされ、全体として平仄を意識した内容になっている。パブリックコメントの結果においても、例えば、番号15では、意見を受けて審査の人的構成要件に係るガイドライン案の一部修正が行われているところ、かかる修正も電子規則との平仄に配慮したものと思われる。

 不動産クラウドファンディングは、不特法に基づく取引類型に限られず、金商法に基づく取引類型なども存在しており、同取引類型については、既に電子規則が詳細なルールを定めているため、実務が先行して定着しつつある。今後、不特法クラウドファンディングが、先行している他の取引類型に追随していくためには、他の取引類型に適用される規制とバランスの取れた、事業者及び投資家にとってより良いルールの制定が必要であり、これを担うのが今般のガイドライン策定である。

 もっとも、二種金業協会が定める電子規則と国交省が定めるガイドラインでは、例え同じ内容であったとしても、ルールとしての重み、位置付けが異なるとの指摘もある。不特法クラウドファンディングが事業者及び投資家の双方にとって使いやすいものと評価され、その活用がどこまで促進されるかについては引き続き注目を要しよう。

以上



[2] 筆者が所属する一般社団法人不動産テック協会もパブリックコメント手続において意見を述べており、当該意見の取りまとめは筆者において担当させていただいた。

 

タイトルとURLをコピーしました