SH3974 経済産業省及び総務省、「カメラ画像利活用ガイドブックver3.0」を公表 足立理(2022/04/15)

取引法務個人情報保護法

経済産業省及び総務省、「カメラ画像利活用ガイドブックver3.0」を
公表

岩田合同法律事務所

弁護士 足 立   理

 

1 はじめに

 経済産業省及び総務省は、これまでに、プライバシーに配慮したカメラ画像[1]の利活用について「カメラ画像利活用ガイドブック」を公表してきたところ[2]、2022年3月30日、同ガイドブックに大幅なアップデートを行った「カメラ画像利活用ガイドブックver3.0」(以下「本ガイドブック」という。)を公表した[3]

 アップデートの内容は、個人情報保護法[4]の令和2年・令和3年改正への対応、プライバシー保護の観点からの追加検討、ガバナンスの観点からの整理、その他技術進展等に応じた検討等、多岐に渡る。本稿では、主に、本ガイドブックに今回新たに追加された「3.2 プライバシー保護について」で述べられているプライバシー保護の基本的な考え方について、下記において概観する。

 

2 プライバシー保護の基本的な考え方

⑴ プライバシー又は肖像権
  1.  ア 私法上の権利としてのプライバシー又は肖像権
  2.    私法上、生活者[5]のプライバシー(下記イ)又はプライバシーの特殊領域として考えられることも多い肖像権(下記ウ)の侵害に対しては、損害賠償請求又は差止請求が認められており、生活者の顔かたち又は姿、生活状況を推測できるような私物等が写り込んでいるカメラ画像の利活用に当たっては、生活者のプライバシー又は肖像権に対する配慮が必要となる。この点、情報の取扱いに係る個人情報保護法上の適法性と、プライバシー又は肖像権の侵害の有無は区別されるものであり、個人情報保護法上適法な情報の取扱いであっても、プライバシー又は肖像権を侵害し得る点に留意が必要である[6]
     
  3.  イ プライバシー
  4.    プライバシーは、従来、私事の公開又は私生活への侵入から保護される権利として主張されていたが、情報化の進展に伴い、生活者の情報を取り扱うに当たり本人の合理的な期待が害されるような問題について、プライバシーに関わる問題として提起されることもある[7]
     
  5.  ウ 肖像権
  6.    プライバシーの特殊領域として考えられることも多いが、生活者の顔かたち又は姿について、みだりに撮影され、これを公表されない人格的な利益は、肖像権として、保護の対象とされることがある[8]

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(あだち・まこと)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2014年東京大学法学部卒業。2016年東京大学法科大学院修了。2017年弁護士登録。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>

1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

<連絡先>

〒100-6315 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号丸の内ビルディング15階 電話 03-3214-6205(代表)

 

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