賃貸住宅管理業務適正化の新法による
「サブリース契約の適正化」は12月15日施行
――賃貸住宅管理業法の一部の施行に向け「ガイドライン」「解釈・運用の考え方」も公表――
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の一部の施行期日を定める政令(令和2年政令第312号)が10月16日、公布され、同法(令和2年6月19日法律第60号。以下「賃貸住宅管理業法」という)による改正項目中「サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約(特定賃貸借契約)の適正化に係る措置」については本年12月15日に施行するものとされた。
併せて(1)賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行令(令和2年政令第313号)、(2)賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則(令和2年国土交通省令第83号)が10月16日、新たに制定・公布されたほか、同日には(3)「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」および(4)「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」が策定・公表されている。
賃貸住宅管理業法は、賃貸住宅の管理についてオーナーの高齢化等による管理業者への委託が増えているなか、管理業者とオーナーまたは入居者との間でトラブルが増加し、特にサブリース業者については家賃保証等の契約条件の誤認を原因とするトラブルが多発しているとして、先の通常国会では衆参両議院において全会一致により可決、6月12日に成立した。上記「サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約(特定賃貸借契約)の適正化に係る措置」および「賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設」を図っており、前者は(A)すべてのサブリース業者に対して(a)勧誘時における、故意に事実を告げず、または不実を告げるなどの不当な行為を禁止し、(b)サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の締結前の重要事項説明などを義務付けるとともに、(B)サブリース業者と組んでサブリースによる賃貸住宅経営の勧誘を行う者(勧誘者)も契約適正化の対象とした。「登録制度の創設」については公布日(本年6月19日)から1年内の政令指定日に施行される。
上記(1)の新政令は、特定賃貸借契約に係る書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承諾に関する手続などを定めるもの。交付書面に記載すべき事項を書面に代えて電磁的方法により提供しようとする特定転貸事業者はあらかじめ当該事項の提供の相手方に対し、その用いる電磁的方法の種類・内容を示し、当該相手方から承諾を得なければならない(賃貸住宅管理業法施行令1項)。
(2)の新省令は本則全13条からなり、①賃貸住宅管理業法上の賃貸住宅、特定賃貸借契約において除かれる賃借人を画しつつ(賃貸住宅管理業法施行規則1条・2条)、②誇大広告等をしてはならない事項(3条)、特定賃貸者契約の相手方等の保護に欠ける禁止行為(4条)の細則を定めるとともに、③特定賃貸借契約の締結前の説明事項として「特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃の額、支払期日及び支払方法等の賃貸の条件並びにその変更に関する事項」「特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担に関する事項」といった全14項目(6条)を規定するなどした。
(3)のガイドラインでは、①趣旨、②規制の概要について説明するほか、③勧誘者、④誇大広告等の禁止、⑤不当な勧誘等の禁止、⑥重要事項説明、⑦契約締結時の書面交付の各事項について詳説するとともに、③~⑤に関しては具体例も掲げるようにしている。末尾には特定賃貸借契約における重要事項説明書の記載例も添えた。(4)の「解釈・運用の考え方」においては、新法・新省令における文言や規制される行為などについて、全13ページにより要点が把握できるように説明している。
国土交通省は12月15日の施行に向けてオンライン説明会を実施するとしており、①11月19日、②11月26日、③12月3日、④12月10日の計4日間、いずれの日程も15~16時の間、オンライン会議システム・Zoomを使用して開催される。参加無料、登録フォームによる予約申込みが必要とされており、適宜活用されたい。