改正割賦販売法の施行に向けて同法施行令・施行規則の改正案が公表される
――施行予定日は2021年4月1日、改正案は本年11月14日まで意見募集――
経済産業省商務・サービスグループ商取引監督課は10月16日、「割賦販売法施行令の一部を改正する政令案」「割賦販売法施行規則の一部を改正する省令案」を公表し、11月14日までの意見募集を開始した。本年の通常国会で可決・成立した「割賦販売法の一部を改正する法律」(令和2年6月24日法律第64号)の施行に向けて関係政省令を整備するものである。改正法の施行は公布日から1年内の政令指定日と規定されているところ、改正法とともに施行されることになる今般の改正政令案・省令案は「令和3年4月1日」が施行予定日とされた。
改正法では、(ア)限度額10万円以下となる少額の分割後払いサービスの提供事業者(登録少額包括信用購入あつせん業者)について登録制度を創設する(改正後の割賦販売法第3章第1節第4款)、(イ)蓄積されたデータ等に基づく高度な限度額審査を行う者(認定包括信用購入あつせん業者)について認定制度を導入する(第3章第1節第2款)、(ウ)現行のクレジットカード会社、立替払取次業者、加盟店に加え、決済システムにおいて大量のクレジットカード番号等を取り扱う事業者(決済代行業者、QRコード決済事業者・ECモール事業者等)についてクレジットカード番号等の適切管理を義務化する(35条の16、35条の17)、(エ)利用者に対するクレジットカード会社等の書面交付義務について電磁的方法を含むとするなど交付方法を柔軟化する(30条、30条の2の3)、(オ)クレジットカード会社に対する監督手段として新たに業務停止命令を設ける(34条の2第2項)といった措置が図られた(改正法案の閣議決定・国会提出時の紹介として、SH3053 「割賦販売法の一部を改正する法律案」が国会に提出される――少額の分割後払い規制の導入、審査手法の高度化への対応、QRコード決済事業者等のセキュリティ対策強化(2020/03/13)既報)。
公表された改正政令案によると、上記(ア)に絡み、(A)登録少額包括信用購入あつせん業者が営む包括信用購入あつせんに係る極度額の上限額を10万円とし(政令案24条。改正後の割賦販売法35条の2の3第1項関係)、(B)登録少額包括信用購入あつせん業者が契約の解除等を行うための催告の期間を7日と規定する(政令案25条。法35条の2の6第1項関係)。上記(イ)の認定包括信用購入あつせん業者を巡っては(C)登録少額包括信用購入あつせん業者に係る上記A・Bと同様の規定を政令案23条1項・2項に織り込んだ(法30条の5の7、30条の2の4第1項関係)。これら新設の両業者に対しては従来の包括信用購入あつせん業者と同様、与信審査のための調査や体制整備等に関する報告徴収事項を定めている(政令案33条4項・6項。法40条3項・4項関係)。
また(a)認定包括信用購入あつせん業者の新設に関しては、改正省令案の新・第3章第1節第2款において61条(法30条の5の4第1項関係、認定申請の手続)、62条(法30条の5の4第1項1号・2号関係、認定の基準)、62条の2(法30条の5の4第3項関係、変更の認定手続)、62条の3(法30条の5の5第1項ただし書関係、利用者支払可能見込額の算定義務の例外)、62条の4(法30条の5の5第3項関係、利用者支払可能見込額の算定に関する記録)、62条の5(法30条の5の5第4項関係、定期報告に関する手続・報告事項)などを措置。(b)登録少額包括信用購入あつせん業者の新設に関しても、同様に改正省令案において一連の規定により対応している(省令案第3章第1節第4款・68条の3~68条の17参照)。
さらに改正省令案では、①上記(ウ)のクレジットカード番号等の適切管理義務に係る主体を拡充するようにし(省令案132条の2。法35条の16第1項7号関係)、②上記(エ)による書面交付方法の柔軟化を措置する(包括信用購入あつせん業者による情報提供について省令案36条2項・37条2項、50条2項・52条2項、53条2項。法30条1項・2項関係、法30条の2の3第1項・2項・3項各号関係)など、広範な改正を多岐にわたる新設条文により反映している点、留意されたい。