公取委、令和3年度における下請法の運用状況及び
中小事業者等の取引公正化に向けた取組
岩田合同法律事務所
弁護士 松 橋 翔
1 はじめに
公正取引委員会(以下「公取委」という。)は、令和4年5月31日、令和3年度における下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)[1]の運用状況として、定期調査の実施状況、下請法違反被疑事件の処理状況、下請法違反行為に対する勧告・指導の件数、下請法違反実例等を公表するとともに、企業間取引の公正化への取組として、公取委が令和4年3月30日に策定した「令和4年中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」の推進状況等について公表した。
以下では、令和3年度における下請法の運用状況を概観するとともに、下請法に携わる企業の担当者にとって特に実務上重要と考えられる、企業間取引の公正化への取組のうちの一つ、下請法の執行強化の状況等について、実務上の意義について言及しながら解説する。
2 令和3年度における下請法の運用状況
⑴ 定期調査の実地状況等
公取委は、毎年、親事業者及び当該親事業者と取引のある下請事業者を対象に定期的な調査を実施しているところ、令和3年度は、親事業者65,000 名(前年比+5,000名)及び下請事業者300,000 名(前年比±0名)を対象に定期調査が実施された。令和3年度においてはフリーランスとの取引割合が高い業種について重点的に調査する必要があったことから、前年度よりも対象となる親事業者の数が増えている。
⑵ 下請法違反被疑事件の処理状況
下請法違反被疑事件の新規着手及び処理の状況等は以下のとおりとなっている[2]。
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(まつはし・しょう)
岩田合同法律事務所アソシエイト。2015年中央大学法学部卒業
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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公取委、令和3年度における下請法の運用状況及び中小事業者等の取引公正化に向けた取組
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/may/220531.html
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/may/R3_honbun.pdf
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/may/R3_gaiyou.pdf