意外に深い公益通報者保護法
~条文だけではわからない、見落としがちな運用上の留意点~
第18回 内部公益通報受付窓口(7)
森・濱田松本法律事務所
弁護士 金 山 貴 昭
Q 労働組合に対する内部公益通報の取り扱い
当社の従業員が、労働組合に対して通報しました。この通報は、公益通報者保護法上の公益通報として保護されるのでしょうか。
A 【ポイント】
通報先の労働組合が、事業者によって、当該事業者の通報先として、予め指定されている場合には、事業者内部への内部公益通報(いわゆる1号通報)となります。他方、このような事業者による指定が行われていない場合には、内部公益通報とはなりませんが、通報内容等によっては、通報内容にかかる違法行為等の「発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要である者」として、当該労働者への通報が、その他の事業者外部への公益通報(いわゆる3号通報)に該当する可能性はあります。 |
【解説】
1 公益通報者保護法が定める通報先
公益通報者保護法では通報先については、下記の3つが定められています(同法2条1項)。
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①は、いわゆる内部公益通報の通報先で、たとえば、事業者のコンプライアンス部門等に設置された内部公益通報受付窓口への通報が該当します。また、「役務提供先があらかじめ定めた者」への通報も内部公益通報に該当しますので、事業者内部の組織・部門への通報だけではなく、たとえば、事業者が、親会社等のグループ会社のコンプライアンス部門、外部の法律事務所や窓口業者に窓口を設置する場合には、これらも内部公益通報の通報先に該当します。
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(かなやま・たかあき)
弁護士・テキサス州弁護士。2008年東京大学法学部卒業、2010年東京大学法科大学院卒業、2019年テキサス大学オースティン校ロースクール(L.L.M.)修了。2011年弁護士登録(第二東京弁護士会)、2019年テキサス州弁護士会登録。2021年消費者庁制度課(公益通報制度担当)、同参事官(公益通報・協働担当)出向。
消費者庁出向時には、改正公益通報者保護法の指針策定、同法の逐条解説の執筆等に担当官として従事。危機管理案件の経験が豊富で、自動車関連、動物薬関連、食品関連、公共交通機関、一般社団法人等の幅広い業種の危機管理案件を担当。
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