意外に深い公益通報者保護法
~条文だけではわからない、見落としがちな運用上の留意点~
第10回 公益通報の種類・範囲(4)
森・濱田松本法律事務所
弁護士 金 山 貴 昭
Q 取引先従業員からの通報対応への留意点
取引先の従業員から、当社に対して通報がありましたが、このような場合も公益通報者保護法上の公益通報として取り扱う必要があるのでしょうか。
A 【ポイント】
取引先の従業員が、請負契約その他の契約に基づいて当社の事業に従事している場合、当該取引先の従業員は、当社に対して公益通報者保護法上の公益通報を行うことができますので(法2条1項3号)、このような取引先の従業員による公益通報は、受け付けなければなりません。 |
【解説】
公益通報者保護法は、「前二号に定める事業者(筆者注:労働者や派遣労働者等の労務提供先の事業者)が他の事業者との請負契約その他の契約に基づいて事業を行い、又は行っていた場合において、当該事業に従事し、又は当該通報の日前一年以内に従事していた労働者若しくは労働者であった者又は派遣労働者若しくは派遣労働者であった者」は「当該他の事業者」に対して公益通報することができると定めています(法2条1項3号)。また、役員については、「イに掲げる事業者(筆者注:当該役員に職務を行わせる事業者)が他の事業者との請負契約その他の契約に基づいて事業を行う場合において、当該役員が当該事業に従事するときにおける当該他の事業者」に対して公益通報することができます(法2条1項4号ロ)。
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(かなやま・たかあき)
弁護士・テキサス州弁護士。2008年東京大学法学部卒業、2010年東京大学法科大学院卒業、2019年テキサス大学オースティン校ロースクール(L.L.M.)修了。2011年弁護士登録(第二東京弁護士会)、2019年テキサス州弁護士会登録。2021年消費者庁制度課(公益通報制度担当)、同参事官(公益通報・協働担当)出向。
消費者庁出向時には、改正公益通報者保護法の指針策定、同法の逐条解説の執筆等に担当官として従事。危機管理案件の経験が豊富で、自動車関連、動物薬関連、食品関連、公共交通機関、一般社団法人等の幅広い業種の危機管理案件を担当。
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