SH4374 意外に深い公益通報者保護法~条文だけではわからない、見落としがちな運用上の留意点~ 第19回 公益通報者の保護(1) 金山貴昭(2023/03/23)

組織法務公益通報・腐敗防止・コンプライアンス

意外に深い公益通報者保護法
~条文だけではわからない、見落としがちな運用上の留意点~ 

第19回 公益通報者の保護(1)

森・濱田松本法律事務所

弁護士 金 山 貴 昭

 

Q 不利益取り扱いの内容

 従業員が公益通報した場合、通報した従業員に対して不利益な取扱いをすることは禁止されていますが、具体的にはどのような取扱いが禁止されているのでしょうか。

 

A 【ポイント】

公益通報をしたことを理由として従業員である公益通報者に対して行った解雇は無効となります。また、解雇以外の不利益な取扱いは禁止されており、具体的には、従業員の地位(労働契約の更新拒否等)、人事(不利益な配転等)、経済(減給・退職金の減額)、待遇(仕事を回さない、雑作業をさせる等)に関する不利益な取扱いを含みます。また、公益通報を行ったことを理由として損害賠償請求することもできません。

なお、派遣従業員が公益通報したことを理由に、派遣先が派遣元との派遣契約を解除することも禁止されています。

 

【解説】

 公益通報者保護法は、公益通報者が安心して公益通報することができるよう、公益通報者を保護するために、公益通報を行ったことを理由をとする公益通報者への不利益な取扱いを禁止しています(同法3条7条)。具体的な保護の内容は、公益通報通報者の地位(労働者、派遣労働者、退職者、役員)によって異なります。それぞれの地位における公益通報者の保護の内容については、今後の本連載でも詳しく説明する予定ですが、今回は、労働者が通報を行った場合の不利益な取扱いの内容を中心に説明します。

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(かなやま・たかあき)

弁護士・テキサス州弁護士。2008年東京大学法学部卒業、2010年東京大学法科大学院卒業、2019年テキサス大学オースティン校ロースクール(L.L.M.)修了。2011年弁護士登録(第二東京弁護士会)、2019年テキサス州弁護士会登録。2021年消費者庁制度課(公益通報制度担当)、同参事官(公益通報・協働担当)出向。
消費者庁出向時には、改正公益通報者保護法の指針策定、同法の逐条解説の執筆等に担当官として従事。危機管理案件の経験が豊富で、自動車関連、動物薬関連、食品関連、公共交通機関、一般社団法人等の幅広い業種の危機管理案件を担当。

 

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