経産省、「グループ・ガバナンス・システム」で実務指針のイメージを提示
――CGSガイドラインと同様にガバナンス・コードを補完する新指針策定へ――
経済産業省の「コーポレート・ガバナンス・システム(CGS)研究会」(座長・神田秀樹学習院大学大学院教授)が1月21日に開催した(第2期)第13回会議において、仮称「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」の骨子案が項目イメージとして提示された。非公開となった同日の審議について議事要旨以外の資料が2月6日のウェブサイト更新により明らかになったもの。
2017年末から始まった同研究会の第2期となる検討では「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(以下「CGSガイドライン」という)の見直しを進めるとともに(SH2131 経産省、コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)を改訂 大櫛健一(2018/10/11)等参照)、企業グループ全体の価値向上を図る観点から「グループ・ガバナンス」の在り方に関する検討を行ってきた。CGSガイドラインが全上場企業を対象とするのに対し、今般の「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」は特にグループ経営を行う上場企業(上場子会社を含む)を対象としており、コーポレートガバナンス・コードを補完するCGSガイドラインとは「並列の関係に位置づけることとしてはどうか」とする提案がなされている。
4月18日開催予定の会議に向けて取りまとめの審議がなされ、予備日として5月29日が確保されている。その方向性としては第13回会議・資料4「事務局説明資料」20ページに「これまでの議論における共通認識」が掲げられており、これを踏まえた取りまとめが想定される。
公表された骨子案(イメージ項目)によると、その大枠は(1)はじめに、(2)グループ設計の在り方、(3)グループ内部統制システムの在り方、(4)子会社経営陣の指名・報酬の在り方、(5)上場子会社の在り方、(6)おわりに――の6章構成。(3)を仔細にみると、①内部統制システムの基本的な考え方、②内部統制システムに関する取締役・監査役等の役割、③実効的な内部統制システムの構築・運営の在り方、④有事対応の在り方からなり、これらのうち、たとえば③では「第2線(法務・財務部門)の役割と独立性確保・機能強化」「第3線(内部監査部門)の役割と独立性確保・機能強化」などが具体化される模様である。
また(5)では、①上場子会社の現状と評価、②親会社による上場子会社の適切な管理・監督の在り方、③上場子会社におけるガバナンス体制の在り方、④上場子会社経営陣の指名の在り方、⑤上場子会社経営陣の報酬の在り方といった5節を掲げている。うち③では「上場子会社における独立社外取締役の役割」やその「独立性に関する考え方」などを、⑤では「上場子会社経営陣の報酬決定に関する課題」「親会社と上場子会社に求められる対応」「親会社の報酬委員会と上場子会社の報酬委員会との関係」「報酬に関する個別論点」を取り上げるなど、きわめて多岐にわたる視点がガイドライン化されることとなる。