経産省、「SDGs経営ガイド」を公表
――SDGs経営を「投資・人材・顧客獲得の重要なカギ」と位置付け、実践事例も紹介――
経済産業省は5月31日、「SDGs経営ガイド」を取りまとめ、公表した。
「SDGs(Sustainable Development Goals. 持続可能な世界を実現するための国際目標)が企業・投資家にとってどのような意味を持つのか」について、経産省が「SDGs経営/ESG投資研究会」(座長・伊藤邦雄一橋大学大学院特任教授)を設置、同研究会において昨年11月から計6回にわたり行われた議論を踏まえて作成された(初会合の開催について、SH2230 経産省、「SDGs経営/ESG投資研究会」の初会合を開く(2018/12/04)既報)。5月24日には最終となる第6回会合が開催され、事務局から「とりまとめ概要」が示されるとともに「今後、『SDGs経営ガイド』をどのように国内外に発信していくべきか。その際に留意すべき点は何か」といった検討がなされた。
経産省が「大企業・ベンチャー企業の経営者、機関投資家、アカデミア、国際機関から出された意見を整理し、企業が本業を通じてSDGsに取り組む『SDGs経営』のエッセンスや投資家がこれを評価する視座等をまとめた」とするSDGs経営ガイドは、「Part 1. SDGs ― 価値の源泉」「Part 2. SDGs経営の実践」の2部構成。「Part 1」では、SDGsの意義そのものを企業、投資家、従業員・消費者などの各視点から丁寧に説明しており、たとえば企業経営においては(1)世界全体がSDGsの達成を目指すなか、これを無視して事業活動を行うことは企業の持続可能性を揺るがすリスクをもたらすと指摘する一方で、(2)ビジネスを通じてSDGsに取り組むことは企業の存続基盤を強固なものにするとともに、いまだ開拓されていない巨大な市場を獲得するための大きな機会となりうるものと位置付けている。
続く「Part 2」においては、企業がSDGs経営を実践する際に有用な視点を「Ⅰ 社会課題解決と経済合理性」「Ⅱ 重要課題(マテリアリティ)の特定」「Ⅲ イノベーションの創発」「Ⅳ 『科学的・論理的』な検証・効果」「Ⅴ 長期視点を担保する経営システム」「Ⅵ 『価値創造ストーリー』としての発信」といった6章に分けて整理。計13に及ぶ企業・大学の具体的な実践事例を図表を用いて紹介するなどした。
経産省では、本ガイドにより①世界中の企業が新たに(またはさらに)SDGs経営に取り組む際の羅針盤を提示するとともに、投資家がSDGs経営を評価する際の視座を提供すること、②日本企業のSDGs経営の優れた取組みを世界にPRすることで、海外から日本企業への投資を促すことを主な狙いとする。また英語版も作成、G20やTICADなどの国際会議の場も活用して広く国内外に発信し、普及・浸透を図るとしている。