環境省、「環境サステナブル企業」に係る評価軸と評価の視点を取りまとめ
――環境要素を経営に統合する企業の情報開示、投資家による企業価値評価の実務を促進――
環境省は7月8日、環境サステナブル企業評価検討会(座長・北川哲雄青山学院大学大学院教授)において「『環境サステナブル企業』についての評価軸と評価の視点」を取りまとめたとし、これを公表した。
環境省では、環境情報と企業価値に関する検討会(座長・北川哲雄教授、オブザーバー・経済産業省経済産業政策局企業会計室、産業資金課、金融庁企画市場局企業開示課、日本取引所グループ総合企画部、日本経済団体連合会環境エネルギー本部)をかねて開催し、今年5月27日には「環境情報を企業価値評価に活用するための考え方に関する報告書」を公表したところである。本報告書では「ESGの各要素を投資判断に織り込む上で、環境情報を理解する能力を組織として備えようと考えている機関投資家(アセット・オーナー、運用機関)を念頭に、環境情報を企業価値評価に役立てるための基本的な考え方を整理し、投資家が環境情報を利用する際のアプローチを事例とともに提供する」ことが目的とされた。
今般公表された「『環境サステナブル企業』についての評価軸と評価の視点」(以下「評価軸と評価の視点」という)は、環境情報と企業価値に関する検討会における議論も踏まえ、環境サステナブル企業評価検討会において今年1〜3月の計3回にわたり開かれた会合の成果を取りまとめたもので、環境要素を経営に統合する企業の情報開示と投資家による開示情報を用いた企業価値評価の実務を促進するために編まれた。「環境関連の重要な機会とリスクを企業価値向上に向け経営戦略に取り込み、企業価値にもつなげつつ環境への正の効果を生み出している企業」を「環境サステナブル企業」と定義し、投資家が評価するに当たって参考となる評価軸と評価の視点をまとめている。
評価の起点は「企業が環境課題を重要と認識しており、認識した環境課題に関連した事業リスクや機会を特定し、事業への影響を把握していることを企業の開示媒体の情報から投資家等が読み取ることができるか」にあるとされており、「評価軸と評価の視点」に示された評価軸をみると「1. リスク・事業機会・戦略」「2. KPI」「3. ガバナンス」「4. 加点要素」の4つに大別されている。そのうえで、たとえば1には(1)重要な環境課題の分析結果とその方法、(2)環境関連リスク・機会の特定と影響可能性の把握、(3)重要な環境課題に関する中長期戦略、また2には(1)気候変動、(2)水資源、(3)生物多様性、(4)資源循環、(5)化学物質・汚染予防といった評価軸が掲げられ、各評価軸ごとに評価の視点が説明されている。評価軸の1・3は全社的な枠組みを評価する観点、評価軸の2は重要と特定された環境課題ごとに評価する観点、評価軸の4は国際的および国や地域の環境政策目標の達成に戦略的に貢献しようとする積極的な取組みを評価する観点と位置付けられる。
環境省では「評価軸と評価の視点」を活用し、環境サステナブル企業の表彰制度を今年度において新設する予定。「具体的な実例を投資家、企業に示すことで、企業の情報開示と投資家の投資判断への統合を促すこと」を目的とする。