◇SH2779◇産構審・特許制度小委で「今後の検討テーマ案」が示される――二段階訴訟制度・懲罰的賠償など、議論が深まった論点は適時に取りまとめ (2019/09/17)

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産構審・特許制度小委で「今後の検討テーマ案」が示される

――二段階訴訟制度・懲罰的賠償など、議論が深まった論点は適時に取りまとめ――

 

 産業構造審議会知的財産分科会の特許制度小委員会(委員長:玉井克哉東京大学先端科学技術研究センター教授・信州大学経法学部教授)において9月10日、第32回会合が開催され、「今後の検討テーマ案」が示された。

 特許制度小委員会では「知財紛争処理システムの見直し」をテーマとして、最近では前回会合(第31回・本年2月15日開催)までに(1)証拠収集手続の強化、(2)損害賠償額算定方法の見直し、(3)紛争解決手段の選択肢の整備、(4)訴訟に係る費用負担軽減を検討。先の通常国会で成立、公布された「特許法等の一部を改正する法律(令和元年5月17日法律第3号)」によっては(1)に関して「提訴後の新たな証拠収集手続の導入(査証制度)」を、(2)に関して「特許法第102条第1項で覆滅された部分の相当実施料額」「特許法第102条第3項の考慮要素の明確化」を実現している。

 今般の「今後の検討テーマ案」は、上記・改正特許法の国会審議における附帯決議、附帯決議に掲げられた事項について検討を行うとする知的財産戦略本部2019年6月21日決定「知的財産推進計画2019」の記述を踏まえ、これまでの議論を経てなお継続検討課題となっている事項を提示するかたちとなっている。論点は、<侵害の有無に係る論点><訴訟手続の実効性・効率性に係る論点><損害賠償に係る論点>と、3つに大別。

 <侵害の有無に係る論点>としては、①アトニーズ・アイズ・オンリーが挙げられる。被疑侵害者の営業秘密の保護を図りつつ訴訟に適切な証拠が提供されるようにし、もって訴訟に必要な情報の開示を促す。

 <訴訟手続の実効性・効率性に係る論点>は、②二段階訴訟制度、③アミカス・ブリーフ制度。③については、これまでのヒアリング等における「アメリカの裁判所は、法律上の論点について第三者が提出した意見を参考にし、判決を下すことができる制度がある。専門性が高く新しい分野である知財において、こうした制度の導入は検討できるのではないか」との意見が紹介されている。

 <損害賠償に係る論点>としては、④損害賠償制度の更なる見直し、⑤弁護士費用の敗訴者負担が掲げられた。④ではより具体的に「懲罰的賠償」「利益吐き出し型賠償」「関連する利益範囲の拡大」を俎上に載せている。④・⑤とも根底にある視点は、悪質な侵害行為の防止。

 当日の会合では資料に沿って事務局が説明し、自由討議が行われた。今後は月1~2回程度、委員会を開催し、「議論が深まった論点については適時に方向性をとりまとめ」ていくとしている。

 

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