◇SH2979◇労政審、「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」を答申――賃金等請求権の消滅時効期間を5年に(2020/01/24)

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労政審、「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」を答申

――賃金等請求権の消滅時効期間を5年に――

 

 労働政策審議会(会長=鎌田耕一・東洋大学名誉教授)は1月10日、同審議会の労働条件分科会(分科会長=荒木尚志・東京大学大学院教授)で審議を行った「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」について、加藤勝信・厚生労働大臣に対して答申を行った。厚生労働省では、この答申を踏まえて法律案を作成し、通常国会への提出の準備を進めることとしている。

 今回の見直しは、民法(債権法)改正により短期消滅時効制度が廃止されたことを契機として、労基法の賃金等請求権の消滅時効のあり方等を検討したものである。

 厚労省では、「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」(座長(第8回から)=山川隆一・東京大学大学院教授)を平成29年12月26日から開催し、令和元年7月1日に「賃金等請求権の消滅時効の在り方について(論点の整理)」を公表していた。

 これを受け、労政審労働条件分科会で審議を行い、令和元年12月27日に「賃金等請求権の消滅時効の在り方について(報告)」を取りまとめ、さらに今般の「要綱」となったものである。

 「要綱」では、賃金等請求権の消滅時効期間を5年とするとともに、時効の起算点を条文上明確化することとしている。また、労働者名簿等の労働関係に関する重要な書類の保存期間を5年に延長すること等としている。

 改正法は、民法(債権法)改正法の施行の日(4月1日)から施行することとしているが、経過措置として、当分の間、上記の消滅時効期間および書類の保存期間等を3年間とすることとしている。

 さらに、改正法の施行後5年で、改正規定の施行状況等を勘案しつつ検討を行い、必要な措置をとることとしている。

 以下、「要綱」を紹介する。

 

○ 労働基準法の一部を改正する法律案要綱

 

第一 労働者名簿等の書類の保存期間の延長

 労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類(以下「労働者名簿等」という。)の保存期間について、5年間に延長することとすること。   

 

第二 付加金の請求を行うことができる期間の延長

 付加金の請求を行うことができる期間について、違反があった時から5年に延長することとすること。

 

第三 賃金請求権の消滅時効期間の見直し等

 賃金(退職手当を除く。)の請求権の消滅時効期間を5年間に延長するとともに、消滅時効の起算点について、請求権を行使することができる時であることを明確化することとすること。

 

第四 経過措置

 第一から第三までによる改正後の労働基準法第109条、第114条及び第115条の規定の適用について、労働者名簿等の保存期間、付加金の請求を行うことができる期間及び賃金(退職手当を除く。)の請求権の消滅時効期間は、当分の間、3年間とすることとすること。

 

第五 施行期日等

 一 施行期日
 この法律は、民法の一部を改正する法律の施行の日(令和2年4月1日)から施行すること。

 二 経過措置
 この法律の施行前に労働基準法第114条に規定する違反があった場合の付加金の請求期間及び賃金(退職手当を除く。)の支払期日が到来した場合の当該賃金の請求権の消滅時効の期間については、なお従前の例によることとすること。

 三 検討
 政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、この法律による改正後の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。

 

 

 

厚労省、「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」の答申(1月10日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08856.html

厚労省、「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」がとりまとめた「論点の整理」を公表します(令和元年7月1日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05555.html

労働政策審議会(労働条件分科会)の開催状況
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_126969.html

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