新型コロナウイルス感染流行の長期化に備えた
在宅勤務の継続・オフィス出社時の感染予防対策
岩田合同法律事務所
弁護士 羽 間 弘 善
令和2年2月7日、GMO インターネットグループは、新型コロナウイルスの感染拡大に備え、渋谷区・大阪市・福岡市のオフィスに勤務するパートナー(従業員)について、同年1月26日に2週間を目途として採用した在宅勤務体制を継続し、やむを得ず業務上出社が必要なパートナー(従業員)については身を守るための感染予防グッズ配布と以下の出社時・在社時の予防策徹底を行うことにより一部出社を認める体制とした旨を発表した。このほか、新型コロナウイルスを巡っては、上場企業を中心として、数多くの企業がテレワークを活用するなどして国内で勤務する従業員に対して在宅勤務を勧めるなどの感染防止に向けた取組みを行っているところである。
※GMOインターネットグループの公表資料[1]より抜粋
また、同年2月21日には、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、厚生労働省が、一般社団法人日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国商工会連合会及び全国中小企業団体中央会等の経済団体に対して、①労働者が発熱などの風邪の症状が見られる際に、休みやすい環境の整備、②労働者が安心して休むことができるよう収入に配慮した病気休暇制度の整備、③感染リスクを減らす観点からテレワークや時差通勤の積極的な活用の促進などの取組みへの協力を求めている。
本稿においては、現在の状況を踏まえて、新型コロナウイルス感染流行の長期化に備えた在宅勤務の継続・オフィス出社時の感染予防対策の拡充など、各企業が講ずるべき対策を解説する。
労働契約法5条は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と定めており、使用者が労働者に対して安全配慮義務を負っている旨を規定している。
したがって、各企業は、当該安全配慮義務を遵守する観点から、新型コロナウイルスが職場において感染しないよう必要十分な感染防止策を講じる必要があり、仮に、各企業が適切な感染防止策を講じることなく従業員が新型コロナウイルスにり患した場合には、不法行為又は安全配慮義務違反を理由とする損害賠償義務が認められる可能性がある。
各企業が、安全配慮義務を遵守する観点から具体的にどのような新型コロナウイルスの感染防止策を講じる必要があるのかを検討するにあたっては、新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議が作成した平成21年2月17日付「新型インフルエンザ対策ガイドライン」[2]の中の、「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」(以下「本ガイドライン」という。)が参考になる。本ガイドラインは、新型インフルエンザを対象としたものであるが、事業者が実施すべき感染防止策等について詳細に記載されている。
本ガイドラインに記載されている感染防止策のうち、新型コロナウイルスの感染防止策としても考えられるものとしては以下のものが挙げられることから、新型コロナウイルスの感染防止策を現在検討されている企業においては参考とされたい。
目的 | 区分 | 対策例 |
従業員の感染リスクの低減 | 業務の絞り込み |
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全般 |
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通勤(都市部での満員電車・バス) |
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外出先等 |
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その他施設 |
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職場内での感染防止 | 患者(発熱者)の入場防止のための検温 |
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一般的な対人距離を保つ |
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飛沫感染、接触感染を物理的に防ぐ |
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手洗い |
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訪問者の氏名、住所の把握 |
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