2020年3月12日号
フィリピン:新型コロナウイルスの影響まとめ(速報)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 坂 下 大
はじめに
3月11日、世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスの感染が「パンデミック(世界的流行)」に該当すると発表し、国から国への感染の広がりの制御が難しい状態にあるとの認識を示しました。感染拡大に伴う国内の各種法律問題に加え、海外に子会社・関係会社を抱える企業からの問い合わせも増えているため、速報ベースで各国の方針や影響拡大状況の概要につきお知らせ致します。なお、本記事は感染拡大が続く間、不定期に配信していきたいと思いますが、同感染症の拡大状況については日々状況が変化している中、本記事の内容がその後変更・更新されている可能性については十分ご留意の上参照ください。本記事の内容は、特段記載のない限り、2020年3月10日夜時点で判明している情報に基づいています。
全体概況 死亡者:1人、感染者数(累計):33人(3月10日現在) フィリピンは比較的早期に中国本土、香港、マカオからの入国禁止措置を採り、感染者は3月5日時点まで武漢からの渡航者3人(死亡者1人)のみという状況が続いていたが、3月6日に2人の感染(うち1人は海外渡航歴がなく国内感染)が確認されて以降感染者が増加し始め、9日には10人、10日には13人の新規感染者が確認される等、この数日で感染拡大が加速し始めた印象である。かかる状況を受けて、9日には大統領が公衆衛生上の非常事態を宣言した。 |
主な政府発表
- ・ 労働雇用省が、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえた柔軟な働き方に関するガイドラインを発表(3月4日)
- ・ 国内感染の増加を受けて、COVID-19アラートシステムをCode Red sublevel 1 (5段階のうち上から2番目)に引き上げ(3月7日)
- ・ 大統領による公衆衛生上の非常事態宣言(3月9日発表)
渡航情報
- ・ 過去14日間以内に中国本土、香港、マカオ、韓国大邱広域市及び慶尚北道清道郡に滞在歴のある外国人(永住ビザ保有者等を除く)の入国及び乗継ぎは禁止されている。
- ・ フィリピン国民については、中国本土、香港、マカオ、韓国の大邱広域市及び慶尚北道清道郡への渡航が禁止されており、韓国のうち前記以外の地域へは、関連するリスクを理解したことを示す宣誓書に署名することを条件に渡航可とされている(いずれも当該地域の永住権保有者等は別の制限あり)。
その他
- ・ 大統領より、3月10~14日の期間中はマニラ首都圏の全ての学校を休校にするよう指示がなされている。
(さかした・ゆたか)
2007年に長島・大野・常松法律事務所に入所し、クロスボーダー案件を含む多業種にわたるM&A、事業再生案件等に従事。2015年よりシンガポールを拠点とし、アジア各国におけるM&Aその他種々の企業法務に関するアドバイスを行っている。
慶應義塾大学法学部法律学科卒業、Duke University, The Fuqua School of Business卒業(MBA)。日本及び米国カリフォルニア州の弁護士資格を有する。
長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/
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