◇SH0612◇企業内弁護士の多様なあり方(第13回)-法務部門の組織の作り方(上) 中島史郎(2016/03/30)

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企業内弁護士の多様なあり方(第13回)

-第5 法務部門の組織の作り方(上)-

BNPパリバ証券株式会社法務本部長

弁護士 中 島 史 郎

第5 法務部門の組織の作り方(上)

 法務部門の組織の作り方には、千差万別のモデルがありえるが、部門のメンバー構成に関し、どのような資格、経験、能力を持った者を前提として組織を作るかという観点から組織の作り方を考察する。

1 ロイヤー型モデル

 外資系企業の日本拠点で見られるモデルであるが、法務部門のメンバー(法務部員)として、日本又は海外の弁護士資格を有し(以下、海外の弁護士も含めて弁護士という言葉を使うものとする。)、法律事務所等で弁護士としての実務経験を有する者(以下、「ロイヤー」という。)を中核メンバーとして配置し、ロイヤーをサポート(補助)する事務職員として、秘書(アシスタント)及びパラリーガル(リーガル・アシスタントと呼ぶ場合もある。)を置くモデルがある。

 契約書の作成やレビュー、法的問題の検討・アドバイス、訴訟・紛争案件の対応等法的判断を伴う業務はロイヤーが専ら担当する。パラリーガルは、ロイヤーの指示・監督のもと簡単な法的書面の作成事務等を行い、ロイヤーの仕事をサポート(補助)する。秘書(アシスタント)は、書類のタイプ、ファイリング、会議設定のアレンジ等の秘書業務および部門の庶務的事務を担当する。

 法務部門の長(ヘッド)もロイヤーが務める。このモデルは、いわば法律事務所の組織をそのまま会社内に持ち込んだものである。

 法務部門の中核メンバーであるロイヤーに焦点を当てて述べると、その職責及び必要となる知識、技能、経験等の資格要件が明確であるので、採用に関しては、業務に習熟した経験者を中途採用することになり、大学等から新卒者を採用することは想定されていない。法務部員のポジションは、ロイヤーとしての専門知識・経験と密接に結びついているので、法務部門から他部門への人事異動及び他部から法務部門への人事異動は原則としてない。

 

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