総務省、電気通信事業における個人情報保護に関する
ガイドライン解説の改正案を2023年3月23日に公表
岩田合同法律事務所
弁護士 足 立 理
1 電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン解説の改正案の公表
電気通信事業法の一部を改正する法律[1]が2023年6月16日に施行されることを踏まえ、総務省は、同年3月23日、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの改正案(以下「ガイドライン改正案」という。)、及び、その解説の改正案(以下「解説改正案」という。)を公表した[2]。
改正事項は多岐に渡るが、本稿では、利用者情報の外部送信に関する規制に基づき、「情報送信指令通信」[3](要旨、Cookie、広告ID等の識別符号[4]その他の利用者の端末に記録された情報を、事業者自身又は第三者のウェブサーバ等に送信するよう指令を与えるコード等〔下記左図の③、右図の③〕を送信すること〔下記左図の②、右図の①〕をいう。)について、事業者に一定の対応が求められる場合において、当該事業者が講ずべき措置のうち、特に、法令所定の事項の通知・公表[5]の方法について紹介する。
〔総務省ホームページ[6]より抜粋〕
2 対応が求められる条件
情報送信指令通信について事業者に一定の対応が求められる条件は極めて複雑であり、紙幅の都合上本稿では詳細に踏み込むことができないが、当該条件の概要は下表のとおりであり、条件I~条件IVの全てが充たされるとき、事業者に一定の対応が求められる[7]。
条件I |
事業者が、電気通信事業の登録[8]若しくは届出[9]をしていること、又は、SaaSサービス、オンラインストレージサービス、IoTサービス等(いわゆる「第3号事業」)[10]を提供していること |
条件II |
事業者が、メールサービス、ダイレクトメッセージサービス、参加者を限定した(宛先を指定した)会議が可能なウェブ会議システム、SNS、電子掲示板、動画共有サービス、オンラインショッピングモール、ライブストリーミングサービス、マッチングプラットフォームサービス、オンラインゲーム、オンライン検索サービス、ニュース配信、気象情報配信、動画配信、地図等の各種情報のオンライン提供サービス等[11]を提供していること |
条件III |
事業者が、利用者に条件IIのサービスを提供する際に、情報送信指令通信をしていること |
条件IV |
情報送信指令通信により送信される情報が、OS情報、画面設定情報、言語設定情報、ブラウザ情報、セキュリティ対策に必要な情報等[12]、又は、First Party Cookieに保存されたID等[13]のいずれにも該当しないこと |
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(あだち・まこと)
岩田合同法律事務所アソシエイト。2014年東京大学法学部卒業。2016年東京大学法科大学院修了。2017年弁護士登録。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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