公取委、いわゆる「フランチャイズ・ガイドライン」の改正を確定・公表
――コンビニ本部・加盟店取引実態調査を踏まえ「ぎまん的顧客誘引」
「優越的地位の濫用」の観点から手当て――
公正取引委員会は4月28日、「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」(平成14年4月24日公正取引委員会。以下「フランチャイズ・ガイドライン」という)を改正し、改正後の正式名称を「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」として公表した。
フランチャイズ・ガイドラインは「フランチャイザー(本部)」と「フランチャイジー(加盟者)」との取引において独占禁止法上問題となる行為を具体的に示すことにより、フランチャイザーの独禁法違反行為の未然防止および適切な事業活動の展開に資するよう策定された。今般の改正に向けては、大手コンビニエンスストアチェーンの全加盟店57,524店(2021年1月時点)を対象として初めて実施し、2021年9月2日に公表された大規模実態調査「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査について」により、なお多くの課題があることが判明したとし、公取委では今年1月29日にフランチャイズ・ガイドラインの改正案を公表、3月1日まで意見募集を行っていた。なお、改正後のフランチャイズ・ガイドラインと併せて公表された資料において、意見募集の対象とされた改正原案と成案として確定されたガイドラインとの変更点を示しており、変更点の1つに本ガイドラインの正式名称を改めるものがある。
改正後のフランチャイズ・ガイドラインでは(A)ぎまん的顧客誘引(不公正な取引方法の一般指定(昭和57年6月18日公正取引委員会告示第15号)第8項)の観点から、加盟者募集時に開示することが望ましい事項を記載するとともに、(B)優越的地位の濫用(独禁法2条9項5号)の違反となりうる想定事例を追加・新設して例示することとした。
公取委によると、上記・実態調査により明らかになった問題行為としては、次のものがある。①募集時の説明(予想収益等)、②仕入数量の強制、③年中無休・24時間営業、④ドミナント出店、⑤見切り販売の制限。改正に当たっては、たとえば、①につき予想収益等の説明が不十分であることに対し、ぎまん的顧客誘引の観点から「出店を予定している店舗の売上げを予想するものでないデータを示す場合は、加盟希望者に誤認を与えないようにする」旨の注記を新設(改正後のフランチャイズ・ガイドライン「2 本部の加盟者募集について」の(2)イ(注4)参照)。また、本部の指導員による無断発注も発端となりうる上記②に対しては、優越的地位の濫用の違反となりうる想定事例として「加盟者の意思に反して加盟者になり代わって加盟者名で仕入発注すること」を追記した(同ガイドライン「3 フランチャイズ契約締結後の本部と加盟者との取引について」の(1)ア(仕入数量の強制)参照)。
意見募集結果を取りまとめた「原案に対する意見の概要及びそれに対する考え方」によれば、「フランチャイズ・システムというよりもコンビニエンスストア・チェーン加盟契約に関するものになっているように思われる」「コンビニエンスストアとそれ以外のフランチャイズの違いを意識して、適用対象を適切に限定した規定とすべきではないか」といった意見が複数みられたところである。公取委としては、上記・実態調査の結果「独占禁止法上の評価を行うに足る実態を把握した点について、考え方を明確化」したとしつつ、「本考え方は、コンビニエンスストア業界にとどまらず、フランチャイズ・システムを用いる業態全般において、『独占禁止法違反行為の未然防止』に役立てることを目的としたもの」と説明している。