経産省、「データの越境移転に関する研究会」第2回会議を開催
――データの越境移転に関する、令和4年4月1日施行の改正個人情報保護法上の新たな規制内容――
岩田合同法律事務所
弁護士 池 田 美奈子
1 はじめに
ビジネスを行う上で、国境を超えたデータ移転が必須となっている昨今において、データの越境移転について、各国が越境移転規制やデータローカライゼーション要求等様々な国内規制を設けており、自由なデータ流通を実現していくためには、国際的な調整の仕組みを用意することが必要である。
経済産業省は、2023年に開催されるG7等の場で、日本が提唱したDFFT(信頼ある自由なデータ流通)[1]の議論を具体化するため、2021年に「データの越境移転に関する研究会」(以下「本研究会」という)を立ち上げ、本研究会において、民間企業から越境移転のニーズが高いデータ等を抽出し、また各国[2]のデータ関連規制について取りまとめ、各国の制度の比較分析が行われている。
一方、日本の企業にとって目下の課題となっているのが、本年4月1日より全面施行される改正個人情報保護法(以下「改正法」といい、現行の個人情報保護法を「現行法」という)である。改正法では、個人データの越境移転規制の基本的な枠組み自体に変更はないものの、本人への情報提供義務等が新設されており、企業にとって相応の負担となることが予想される。
そこで、本稿では、改正法下で新設された越境移転時の義務の内容について、以下、概説する。
2 個人データの外国にある第三者への提供の方法
まず、個人データを外国にある第三者に提供するには、原則として以下のいずれかの方法による必要がある(改正法28条1項)。
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(いけだ・みなこ)
岩田合同法律事務所アソシエイト。日本及び米国(NY州)弁護士。2007年東京大学法学部卒業。2009年University of Michigan Law School修了(LL.M.)。2010年早稲田大学法科大学院修了。約4年間、海事専門法律事務所に所属し、海事案件の経験も豊富に有する。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902 年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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