日本取締役協会、「上場企業のコーポレート・ガバナンス調査」結果を発表
――プライム市場・独立社外取締役3人以上選任企業の比率は約85%――
日本取締役協会は8月1日、「上場企業のコーポレート・ガバナンス調査」結果を発表した。
調査は「日本の上場企業のコーポレート・ガバナンス改革の歩みを、特に社外取締役・独立社外取締役の就任数の観点から、定点観測」しているとするもので、掲出データには2004年以降の経過を把握できる取りまとめもある。集計は、東京証券取引所市場第一部上場企業について「コーポレート・ガバナンス体制整備への過程を、2004年~2006年は有価証券報告書に基づく2次データ、2007年以降は東京証券取引所コーポレート・ガバナンス情報サービスを利用して、毎年8月1日に」なされており、東証では4月4日、市場再編を始動していることから、本年2022年の集計は新市場区分によるプライム市場上場企業を対象として行われていることになる。
なお、東証によると「旧市場区分による4月3日現在の市場第一部上場会社2,177社のうち1,839社(84.5%)が新市場区分による4月4日現在のプライム市場上場会社となった」旨が明らかになっている(SH4019 東証、改訂CGコードの追加事項に関する「上場会社の対応状況」を取りまとめ――フォローアップ会議で提示・報告、改訂後の状況、市場区分見直し前後の推移などが明らかに (2022/06/08)既報)。直近のプライム市場について日本取引所グループのウェブサイトによれば、本年7月31日時点:1,838社(旧市場第一部上場会社数2,177社に対して84.4%)、8月29日時点:1,837社(同様に、84.4%)となっている。
今般の調査結果によると、(A)社外取締役・独立社外取締役の状況として(1)社外取締役/独立社外取締役のべ人数は2022年:6,998人(うち社外取締役:290人、独立社外取締役:6,708人。以下同様)であった。2020年:6,733人(448人、6,285人)、2021年:7,330人(405人、6,925人)と推移しており、本年は2021年と比べると、その実数6,998人は332人の減員となるところ、2021年比95.5%にとどまっていることが分かる。独立社外取締役のみを比較する場合、その実数6,708人は217人の減員ながら、2021年比96.9%となる。
調査結果から(2)独立社外取締役選任人数別企業数比率をみると、3人以上の独立社外取締役を選任している企業の割合は大幅に増加した。ここでは調査結果に基づき独立社外取締役数が「3人」「4人」「5人以上」となる企業の比率を単純に合算して示すと、2020年:55.3%(3人:31.8%、4人:13.9%、5人以上:9.6%。以下同様)、2021年:66.5%(35.0%、18.7%、12.8%)と推移していたところ、2022年:84.8%(37.8%、26.3%、20.7%)となり、2021年比18.3ポイントの増加を示している。
(3)取締役会に占める独立社外取締役の比率についても「過半数」「3分の1」の比率を合算する場合、2020年:57.3%、2021年:73.1%と推移していたところ、2022年:92.5%(2021年比19.4ポイント増)を占めるに至った。
本調査結果からは、ほか(B)委員会設置状況、(C)監査役会設置会社であるか監査等委員会設置会社であるかなどの組織形態の実態が読み取れる。(B)によれば「指名・報酬委員会を設置」「指名委員会のみを設置」「報酬委員会のみを設置」している企業の合算比率は2022年:86.3%にまで高まった(2021年:71.0%、2020年:61.5%)。(C)によっては監査等委員会設置会社の比率が着実に増加している傾向が判明しており、適宜参考とされたい。